はじめに
特定建築物定期調査は、建築物の劣化や損傷、不適切な改変などがないかを定期的に確認し、その結果を行政へ報告する制度です。建築基準法に基づく定期報告制度は、建築時の確認で終わらせず、使用開始後も建築物を適法な状態に保つことを前提としており、特定建築物定期調査はそのために設けられている制度の一つです。
特定建築物定期調査の概要
建築基準法では、建築物の所有者、管理者又は占有者に対し、建築物の敷地、構造及び建築設備を常時適法な状態に維持することが求められています。そのうえで、一定の建築物については、所有者等が有資格者に調査をさせ、その結果を特定行政庁へ報告しなければなりません。これが建築基準法第12条第1項に基づく特定建築物定期調査です。調査の項目、方法及び結果の判定基準は、平成20年国土交通省告示第282号で定められています。 特定建築物定期調査は、建築設備定期検査や防火設備定期検査と同じく建築基準法第12条に基づくものの、別の制度です。建築設備や防火設備が個別設備を対象とするのに対し、特定建築物定期調査は建築物そのものを対象として行われます。
対象となる建築物
対象となるのは、建築基準法第12条第1項に基づく定期報告制度の対象として定められる建築物です。国は、不特定多数の人が利用する建築物や、高齢者等の自力避難が難しい人が就寝用途で利用する施設のうち、一定規模以上のものを政令で一律に報告対象としています。さらに、地域の実情に応じて、特定行政庁が対象を追加することもできます。
そのため、対象かどうかは用途だけで決まるわけではありません。床面積や階数などの規模もあわせて確認する必要があり、実際の対象範囲や報告年度は、所管の特定行政庁が公表している基準によって確認することになります。また、報告の頻度は3年に1回とされています。
調査と報告
特定建築物定期調査は、建物が存在していることを確認するための制度ではありません。建築物の損傷や腐食などの劣化状況に加え、不適切な改変によって違反状態が生じていないかを確認し、その結果を行政へ報告する制度です。調査では、敷地及び地盤、敷地内の通路、塀、擁壁、基礎、外壁などについて、目視、測定、打診等により確認し、告示の基準に照らして評価します。
報告義務者は原則として建築物の所有者で、所有者と管理者が異なる場合は管理者です。調査を行うことができるのは、特定建築物調査員、一級建築士、二級建築士です。報告年度になれば、報告義務者が有資格者に調査を依頼し、調査後に報告書を提出します。
罰則規定
定期報告を怠ると、建築基準法第101条により100万円以下の罰金の対象となります。
まとめ
特定建築物定期調査は、一定の用途・規模の建築物について、使用中の安全性と適法性を継続して確認し、その結果を行政へ報告する制度です。制度の根拠は建築基準法第12条第1項にあり、国が政令で一律に対象建築物を定め、地域の実情に応じて特定行政庁が対象を追加し、調査の項目、方法及び判定基準は平成20年国土交通省告示第282号で定められています。 建物所有者や管理会社としては、対象建物かどうかを確認したうえで、定期調査の時期を年間の管理予定に組み込んでおくことが大切です。
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