竣工前の建物におけるテナントとの賃貸借契約の注意点

今回は竣工前の建物における賃貸借契約の注意点について、オーナー様目線で紐解いて行きましょう。

竣工前とは、新築建物の建設工事が終了する前の状態を指します。

そんな竣工前の建物における賃貸借契約で注意すべき点は、大まかには以下の通りになります。

  • 竣工時期が変更になった場合
  • 賃貸借契約が解約になった場合
  • 用途変更のタイミング
  • 工事区分の設定

 

竣工時期が変更になった場合

天変地異による竣工の遅延等やむを得ない事情により、契約書の引渡し日通り引渡しが行えないケースがございます。そうなった際に一切の取り決めがないまま契約を締結していると、テナントとトラブルに発展する可能性がございます。その為、契約書には「引渡し日が遅延する場合、これによってテナントに損害が生じた場合にも、損害賠償等の請求ができない旨」や、「引渡し日が変更となった場合に新たな引渡し日の取り決めに関する内容」を明記することがポイントです。そうすることで万が一のリスクヘッジに繋がります。

例文:貸主は、万が一本物件の建設工事の遅延や、天変地異による不可抗力等、やむを得ない事情により、引渡し予定日までに借主へ引渡しが不可能となる場合には、予め借主へ通知するものとし、新たな引渡し日を取り決め、同日を賃料発生日とする事を承諾する。尚、引渡し遅延により借主に損害が生じた場合にも、貸主および本物件関係者に対し、借主は損害賠償などの請求はしないものとする。

 

 契約が引渡し前に解約となる場合

契約締結から引渡しまでの期間が長い場合に貸主、借主ともに「やっぱり解約したい」と心変わりが起きるケースがあります。そうなった場合を想定して、契約書に引渡し日までに解約とする場合の特約等を設けるといいでしょう。

例文:契約締結日より本物件引渡し日までに借主が解約する場合、本契約締結時に預託した敷金を放棄することにより本契約を解約できるものとし、貸主が解約する場合、預託済みの敷金を速やかに借主に返還し、敷金と同額を違約金として借主へ支払うことにより解約できるものする。

 

用途変更のタイミング

例えば、スケルトン(店舗の内装設備が無い状態)での建物建設の場合、確認申請時に申請できる用途は物販店舗・事務所に限られています。誘致したいテナントが飲食店だった場合は条件によっては用途変更が必要となります。

■参照: 用途変更とは

 

 竣工前に用途変更を行う場合

建築確認申請後であっても一定の期間までは変更申請を行うことが出来ます。このタイミングで用途変更・変更申請を行うメリットはテナントが先行して竣工前に内装工事を行え、すぐにオープンが可能になる点、オーナー様側としては、テナントから多く要望のある内装工事期間中のフリーレント付与の回避ができ、引渡し日及び賃料発生日の前倒しが望めます。

 

工事区分の設定

建物建設中にテナントが先行して内装工事を行う場合、管理・監督は本体工事の施工会社にある為、施工会社の承諾が必要になります。また、内装監理費や、A工事・B工事・C工事の区分を契約前に事前に明各にしておかないと、契約後にテナントとトラブルになる可能性があります。

 

A工事・B工事・C工事については以下の表をご参照下さい

工事区分 工事の指示者(資産管理者) 担当する業者 費用の負担者
A工事 オーナー オーナーの指定業者 オーナー
B工事 オーナー オーナーの指定業者 テナント
C工事 テナント テナントが選定 テナント

 

これまで竣工前の物件における注意点を幾つか説明してまいりましたが、他にも注意すべき点は多くございます。オーナー様のリスクヘッジを鑑み、事業用不動産の契約に関して専門知識を備えた不動産会社へ委託をすることがオーナー様の利益の最大化に繋がるので、多くご依頼を頂いております

当社では、これまでの管理上のトラブルなどを基に、契約の様々な内容を改善し続けております。ご質問や契約の内容に不安などありましたら、当社までお気軽にご相談下さい。

 

 

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By | 2019年3月14日

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