テナントの破産

入居テナントが破産したらどのようなことが起こるのでしょうか。

 

まず、破産とは何でしょうか。裁判所のサイトには次のように記載されています。

破産手続は,裁判所が破産手続の開始を決定し,破産管財人を選任して,その破産管財人が債務者の財産を金銭に換えて債権者に配当する手続です。

 

テナントの破産を知るタイミングとしては、一般的には貸主または管理会社へ破産管財人からの電話もしくは郵送の連絡ということが多いようです。なお、このような連絡が来たときには既にテナントの破産が確定していますので、家賃保証会社に入っている場合は破産確定の日をもって免責となり、以後の家賃保証や原状回復支援などのサービスが受けられなくなることが多いようです。また、破産直前は賃料を滞納していることが多いと思いますが、家賃保証会社が立て替えた賃料も破産確定日以降は返金を要求されることがあります。

破産管財人はテナント企業の財産を債権者で分配を行います。但し、債権の内容により優先順位が異なり、詳細説明を割愛すると概ね以下のようになります。

1位:財団債権…破産管財人の報酬、近々の租税公課、近々の従業員への給与

2位:優先的破産債権…財団債権以外の租税公課・従業員への給与

3位:一般的破産債権…他のいずれにもあてはまらない債権

4位:劣後的破産債権…破産手続開始後の公租公課や利息

5位:約定劣後的破産債権…あらかじめ劣後することが約定されている債権

つまり大まかに分ければ、最優先となる「財団債権」と、内容に応じて劣後する「破産債権」と二分されます。

 

ここで注意したいのが、滞納賃料や原状回復費用がテナントとの契約終了タイミングによって最優先の「財団債権」に含まれるか否かが変わってきます。

結論から言いますと、「破産開始手続き後」の賃料や原状回復費用請求権は財団債権に含まれます。では、テナントが破産しそうな兆候があっても、優先的に弁済を受けるために破産手続きが開始されるまで待った方が有利と考えてしまっていいのでしょうか。

ケースによりますが、不動産賃貸においては必ずしもそうではないのではないかと思います。なぜなら、破産手続きが開始されると、破産管財人と調整しながら滞納賃料や原状回復について折衝をしながら解約、明け渡しについて決めていかなければならず、賃料を回収できない期間が長引く可能性が高くなるからです。破産手続き開始後の賃料は「財団債権」に分類されると前述しましたが、そもそもテナントにそれを支払えるだけの資産がなければ回収できませんし、一般的には資産を使い切ってしまい無いことが多いかと思います。そうすると、金融機関や一般商材の商店と異なり、商材が一つしかない不動産の場合は、破産管財人と明け渡しの手続きが済むまでは、次のテナントに入居してもらうことができず、その期間は無収入となり、破産管財人も基本的には貸主への譲歩を求めてきますので、その調整が長引けば機会損失は膨らんでいく事態となってしまいます。

 

これは一つの方法ですが、賃料の滞納が続くなど破産の兆候が見られるテナントに対しては、先に合意解約を持ちかけ、破産手続きが開始される前に解約し、退去してもらうという対策をとるのもいいかと考えます。破産手続きが開始されると、その物件に貸主と言えど、テナントや破産管財人の立ち会いがないと入室できなくなりますから、次のテナントに内覧させることもスムーズにできなくなります。

このような方法をとるには例えば管理会社へ収納代行を依頼し、賃料がきちんと期限内に振り込まれているか、定期巡回をしてもらって物件に異常がないかなどを日頃から確認できるようにしておく必要があります。

 

 

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By | 2017年6月20日

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