紛らわしい消防関連点検

建物の消防設備の点検には「消防設備等点検」「防火対象物点検」があるのをご存知でしょうか?
建物の種類によって消防用設備等点検のみの場合と両方の点検を行わなければならない場合があります。

■消防設備等点検

消防設備等点検は、防火対象物(不特定多数の人に利用される建造物等)に義務づけられている点検です。

※該当する防火対象物は下記表に記載しております。
火災感知報知受信機、屋内消火栓、避難設備、誘導灯などの機器を作動させて、万が一の際もそれらの機器が本来もっている機能を十分にはたせるかどうかを点検します。
一般的な「消防設備点検」がこれにあたり、半年毎の点検が義務づけられている設備面のチェックです。

■防火対象物点検

一定規模の防火対象物は、防火管理が適切に行き届いているかを点検し、消防署へ報告することが義務づけられています。

※該当する防火対象物は下記表に記載しております。

特定の用途や避難経路の構造により点検の義務がある防火対象物は、防火管理者の選任届はちゃんと出されているか?
避難経路に物品などの障害物がないか?等の応急措置、救援救護、避難誘導などの防火管理体制の点検を行います。
消防設備等点検と異なる点は、防火管理者の選任や消防計画の届出に基づき、管理権限が適切に行なわれているかなどを確認していく点、避難口や防火戸等の管理がされ、支障となる物が置かれてないかなどの管理面の点検を行ないます。

 

項目 消防設備等点検 防火対象物点検
点検防火対象建物 規模に関わらず消防法で必要な防火設備が設置されている建物 ①収容人員300人以上
②収容人員30人以上300人未満で下記の条件に該当する建物

 

  1. 特定用途が3階以上の階又は地階に存するもの
  2. 階段が1つのもの(但し、屋外に設けられた階段等であれば免除されます)
点検者 防火管理者など関係者が点検可能

 

ただし、下記該当建物は、消防設備士又は消防設備点検資格者が点検を行わなければなりません。

①延べ面積1,000m²以上の特定防火対象物
デパート、ホテル、病院、飲食店、地下街など

②延べ面積1,000m²以上の非特定防火対象物で消防長又は消防署長が指定したもの
工場、事務所、倉庫、共同住宅、学校など

③屋内階段(避難経路)が1つの特定防火対象物

防火対象物の火災の予防に関し、専門的知識を有する防火対象物点検資格者

 

  • 防火対象物点検資格者は、総務大臣の登録を受けた登録講習機関が行う講習を修了し、免状の交付を受けた者のことです。
  • 講習は防火管理者として3年以上の実務経験を有する者などが受講可能です。また、防火管理講習修了者で5年以上の者は、防火管理者に選任されていなくても受講可能です。
点検対象・項目 消火器、火災感知器、火災報知機、屋内消火栓、避難設備、誘導灯など ①防火管理者を選任しているか
②消火・通報・避難訓練(消防計画に定めた回数)を実施しているか
③避難階段に避難の障害となる物が置かれていないか
④防火戸の閉鎖に障害となる物が置かれていないか
⑤カーテン等の防炎対象物品に防炎性能を有する旨の表示が付けられているか
⑥消防法令の基準による消防用設備等が設置されているか
点検期間 機器点検 6ヶ月に1回
総合点検 1年に1回
1年に1回
点検結果の報告 特定防火対象物 1年に1回
非特定防火対象物 3年に1回
※建物の使用目的を19種類に分類し、災害等が発生した際に想定される被害規模や人命に及ぶ被害など危険度の高いものを特定防火対象物、その他のものが非特定防火対象物
1年に1回
点検報告義務違反 点検報告義務違反 30万以下の罰金又は拘留
消防設備等の設置命令違反 1年以下の懲役又は100万以下の罰金
防火管理業務適正執行命令違反 1年以下の懲役又は100万以下の罰金
防火管理者選任命令違反 6月以下の懲役又は50万以下の罰金
防火対象物点検報告義務違反 30万以下の罰金又は拘留
防火管理者選解任届出義務違反 30万以下の罰金又は拘留
点検虚偽表示違反 30万以下の罰金又は拘留

消防設備に不備のあった報告書を消防署に提出した場合、「消防用設備等点検報告改修計画書」が渡されますので、改修の予定を記載し、消防署へ提出しなければなりません。
また、消防署による立入検査等がございますので、点検結果の報告がない建物については、関係者に対し行政指導が行われます。
飲食店や不特定多数の人が出入りする建物は立入検査等の対象になりやすいので特に注意が必要です。

消防用設備のほとんどを気に掛けることは少ないと思いますが、災害が起これば被害を最小限に抑える働きをします。
消防設備等点検はその万が一の時に能力を発揮できる状態であることを確認する重要な点検です。
また、防火対象物点検制度発足のきっかけは、平成13年9月1日に発生した新宿区歌舞伎町の小規模雑居ビル火災です。
この火災で、44名の尊い人命が失われたことを契機に消防法の改正が図られ施行されたものであり、避難訓練や避難路の障害物確認等は、いざという時に必要になります。その為、どちらの点検も非常に重要な点検です。
しかし、ビルオーナー様にとっては、似たような名称の点検が多く、何を行えばよいかわからないことがあるかと思います。
弊社は、多種多様なビル管理の実績がございますので、お気軽にお問合わせ下さい。

 

用語

消防設備士 消火器やスプリンクラー設備などの消火設備、自動火災報知設備などの警報設備、救助袋などの避難設備の設置工事、点検整備を行うことができる国家資格です。
消防設備点検資格者 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)に定めのある、消防用設備等の点検を行うことができる国家資格です。
特定防火対象物 多数の者が出入りするものとして政令で定めるもの。ただし、多数の者が出入りすると言っても、たとえば従業員が1,000人以上の工場などは含まれず、その防火対象物を利用する個人が定まっていないもの(不特定多数の者が出入りする防火対象物)が該当します。
そのほか、火災が発生したときに避難等が困難であり人命に多大な被害を出すおそれが十分にあるものとして、各種福祉施設(老人ホーム・デイサービスセンター等の高齢者福祉施設、保育園・幼稚園等の児童福祉施設、養護学校・援護施設等の障害者福祉施設)や病院等が該当しています。
特定用途 下記の施設又は建築物

 

  1. 劇場、映画館、演芸場、公会堂その他これに類するもの
  2. キャバレー、ナイトクラブ、遊技場その他これに類するもの
  3. 貸席及び料理飲食店
  4. 百貨店及びマーケット
  5. 旅館、ホテル
  6. 病院、診察所及び助産所
  7. 盲学校、ろう学校、養護学校及び幼稚園
  8. 公衆浴場のうち、蒸気浴場、熱気浴場、その他これに類するもの
防火管理者 消防法に定める国家資格です。その資格を有する者のうち防火対象物において防火上必要な業務を適切に遂行でき、従業員を管理・監督・統括できる地位にある者で、防火対象物の管理権原者から選任されて、その防火対象物の防火上の管理・予防・消防活動を行なう者を言います。
防炎対象物品 消防法の「防炎規制」では、燃えにくい性質を「防炎性能」といい、消防法に定められた防炎性能基準の条件を満たしたものを「防炎物品」と呼んでいます。不特定多数の人が出入りする施設・建築物で使用されるカーテン、じゅうたんや、工事現場に掛けられている工事用シート、劇場等で使用される舞台幕等も、「防炎物品」の使用を義務づけられています。

 

 

 

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By | 2019年4月2日

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