商業施設で一般的に用いられる賃料回収方法をご紹介します。
イオンやららぽーと等のショッピングセンターでは、各テナントから回収する賃料は固定賃料の場合も勿論ありますが、多くは歩合賃料も交えた回収方法を採用しています。 つまり、テナントの売上に対して一定の歩合率を掛けて算出された金額を賃料として支払って頂く訳です。ショッピングセンターを運営する企業は、施設内に出店しているテナントの売上状況を常に把握して、退店のリスクヘッジに役立てているほか、売上をあげることが結果的にオーナー様とテナント両者のプラスになるので、共存共栄をすることも可能となります。主な賃料形態は下記の通りです。
- 固定賃料方式・・・毎月固定額の賃料額を支払う方法
- 完全歩合方式・・・月売上に応じた賃料のみを支払う方法
- 固定+歩合方式・・・固定賃料方式に加え、月売上高に応じた賃料を支払う方法
- 最低保証売上方式・・・月売上金額の最低ラインを定め、そのラインからの増加分による賃料方式
- 逓増型歩合方式・・・設定された売上金額に応じて歩合賃料金額が増減する方式
例えば固定+歩合方式では、固定に加えて600万円以上の売上で10%と設定した場合、800万円を売り上げた月は、
固定+(800万円-600万円×10%)=固定+20万円 となります。
また、最低保証売上方式では坪20万円の10%と設定をした場合、面積が30坪の区画であれば、
30坪×20万円=600万円
この600万円が月売上の最低ラインになりまして、10%の設定ですので600万円を売り上げた場合の賃料は60万円となります。
これが800万円を売り上げた月は、800万円の10%ですので賃料は80万円、逆に500万円しか売り上げなかった月でも最低保証の60万円の賃料となります。
ショッピングセンターの場合、施設全体の魅力を作ることは勿論、全体の賃料収入も重要です。集客力のあるテナントを誘致することで「魅力のある施設」かつ、他テナントから見ても「出店したい施設」になるため、完全歩合方式等はそういったキーテナントに出店検討をして貰いやすくなります。また、売上が読めず適正の賃料が定められない時に歩合賃料方式を採用する等、使い方は多種多様となります。テナント側からしても、売上に応じた賃料となるため安定した店舗運営が可能になるかと思います。
ただし、年間賃料収入に増減がありますので年収の想定は難しくなります。 因みに、賃料回収の具体的な方法としてはテナントから日々の売上金を運営企業が預って、月中と月末のタイミングで賃料やその他諸経費を差し引いた後、テナントへ返金するというスキームになります。こうすることで、賃料滞納をも防ぐことができるのです。ただし、テナント側からみれば売上がすぐにキャッシュにならないためデメリットとなる場合もあります。
以上がショッピングセンターの賃料回収方法なのですが、これを一個人レベルで実行するのは難しいです。ただ、テナントの売上を回収せずとも、売上歩合賃料を徴収する方法があります。1日の売上が分かる営業日報をテナントに作成させ、その売上日報をもとに15日と月末に賃料の請求書を発行する方法です。売上虚偽報告が気になるかもしれませんが、今どきのレジスターはZレシートという1日の売上集計する機能があり、このレシートは売上を粉飾できません。これを営業日報に添付させればよいのです。 オーナー様の物件を商売目的で借りている賃借人は、そこで商売が成立すれば長期に渡って賃貸借契約を継続する可能性が高いです。
逆に、売上が取れなくなれば解約する。あるいは減額交渉するという思考になります。そんなとき賃料相場を理由に賃料減額を拒否するより、賃料の回収方法を変えることで、解約や賃料減額を回避することを考えるのも一つでしょう。ただし、一般的にはテナントと密な連携が必要であることと、賃料減額交渉するようなテナントに対し売上歩合方式にした場合は、売上が減少傾向にある店舗なため結果的にオーナー様が損をする可能性が高いです。
賃料設定を業種と業態を見極め、その物件でどれだけの売上をあげられるかを事前に予測し適正な賃料とすることが、オーナー様とテナントがいい関係を維持するために必要なこととなります。
商業施設に出店するには?
ショッピングセンター物件を検索してみましょう。
賃料相場等の商圏に関わる情報は?
「商業マーケティングレポート」では商圏に関わる情報をお手頃価格(税別500円~)で入手する事が出来ます。
Youtubeにて解説動画を公開しております
ビル管理に関する無料ご相談
ビルマネジメント概算お見積もり
選択するだけですぐお見積もりできます
各項目を選択するだけで、おおよその見積金額を自動算出いたします。