借主法人の合併、吸収、解散、消滅について

はじめに

借主が法人である賃貸借契約において、借主法人の合併、吸収、解散、消滅が生じた場合に、賃貸借契約がどのように扱われるかについて説明します。法人の組織変更や清算・消滅は、契約の存続や賃料支払い義務に直接影響を及ぼすため、オーナーおよび契約当事者にとって理解が必要不可欠です。

ここでは、会社法上の規定を踏まえつつ、賃貸借契約への影響と、契約書上で考慮すべき条項例について記載します。

 

1. 合併・吸収合併の場合

  • 吸収合併(A社がB社を吸収する場合)
    • 原則として、合併によってB社の権利義務はすべてA社に承継されます。したがって、B社が借主である賃貸借契約も、
      A社にそのまま承継されます。借主の変更手続きは、オーナーへの通知や名義変更が必要になることが多いですが、
      契約自体は自動的に存続します。
  • 新設合併(A社とB社が合併してC社になる場合)
    • A社・B社の権利義務は新会社C社に承継されます。賃貸借契約も新会社が承継します。
      但し、契約書で合併等を事前承諾事項・解除事由としている場合、承諾未取得や条項違反により
      解除等の問題が生じ得るため注意が必要です。

 

2. 法人の解散・清算・消滅の場合

  • 解散後、清算手続き中
    • 解散した法人は、清算人が債務を整理するための主体となります。賃貸借契約は清算人の管理下で存続します。清算中に契約を解除したい場合は、契約内容と会社法に基づく手続きが必要です。

      ※清算人とは「法人の代表者」とは別の立場であり、解散した法人の権利義務を整理するだけの存在です。賃貸人から見ると、借主が法人解散しても、賃料請求を行う事ができ、契約内容や状況に応じて契約解除を検討することができます。
  • 法人消滅
    • 清算手続き完了後、法人が消滅すると契約主体がなくなります。この場合、契約当事者としての地位が失われ、実務上は賃貸借契約を継続できない状態となりますが、オーナーは保証人や担保を使って未払賃料を回収することが可能です。契約書に「借主が消滅した場合、契約は解除できる」といった条項を入れることが一般的です。


法人の組織変更や清算・消滅は、契約の承継や賃料支払い義務に直接影響を及ぼすため、賃貸人や契約当事者は事前に十分な理解と契約書上の対応策を講じることが重要です。特に、契約書に承継制限条項や消滅時解除条項、保証人条項を設定することで、リスクの明確化と未払賃料の回収確保が可能となります。
借主法人の組織変更や清算に伴う契約リスクの把握と適切な契約管理の参考となれば幸いです。

 

 

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By | 2026年2月9日

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