不動産で物々交換

はじめに

皆様は不動産が実は交換可能なものであることをご存知でしょうか。
通貨のない時代、人は生活必需品や欲しいものを手に入れようとする上で、お互いの物どうしを交換する「物々交換」で取引を行っておりました。
しかしお互いに欲しいものが異なれば、取引は成立しませんし、欲しいものが常に手に入るわけではないなど多くの不便がつきまとっておりました。
時代が進むにつれて、人々が共通の価値認識をもち、取引を円滑に遂行するために、貝殻や穀物、家畜などの財貨を貨幣として用い、やがて金・銀・銅、そして紙幣へと取って代わっていったのです。

現代の売買契約では、世界各国で定められた基準の通貨を用いて取引を行うので、生活必需品から嗜好品、住居や形のないサービスといったものまでが、通貨で交換するのが当たり前の世の中になりました。
ではもう今の世の中で物々交換なんて古い手法は完全に止まってしまったのか...と思われるかもしれませんが、実はそうではないのです。

本日は不動産というテーマにしぼって、現代社会で実際に行われている交換の事例についてご紹介したいと思います。

不動産の交換が起こるケース

 等価交換

都市機能を向上させ、生活の利便性を上げるためにデベロッパー会社主導で再開発が行われる場合、開発対象周辺地の老朽化した市街地や建物を整備しなければいけません。

当然のことながらその土地・建物には所有者が存在しますので再開発を行うためには、開発予定地の土地所有者の合意を得る必要があります。

しかし長年大切にしてきた街や建物をいきなり開発のために取り壊すといわれて、納得するでしょうか。

都市機能が上がり、利便性が増すのは多くの人々にとっては幸せなことかもしれませんが、一方で思い入れのある場所の姿が急変したらそこで暮らしてきた方たちから戸惑いが生じるのも事実です。

そこで再開発事業を担うデベロッパー会社では土地所有者の合意を得たうえで、オーナー様が土地を、デベロッパー会社が建築資金を出資して、建物を新築します。

建物完成後は土地を提供したオーナー様たちは新築ビルの土地評価額に相当する区分所有権の一部を取得することで現金を使わずに取引が可能になるのです。

取得した区分所有の区画などをそのまま賃貸に出すことで、継続して運用することができ、将来的な相続対策としても有効になります。

この土地と完成した建物の等価にあたる分だけ交換する活用方法を不動産の等価交換と呼びます。

換地処分

等価交換とよく似て非なるものの種類の一つに、換地処分というのがございます。

道路・公園・河川などの公共施設を整備・改善することで、宅地の利用増進を目的とする土地区画整理事業において、整備前の土地所有者に対し、新たに整備された土地を割り当て所有権を転じる処分のことを換地処分と呼びます。

新たな土地が割り当てられた後は従前の土地の所有権は消滅するということに注意が必要です。

正確には、換地処分が実行されたことを利害関係者に周知させる換地処分の広告の翌日から、従前の土地の所有権は消滅します。

この土地区画整理事業を行うにあたって、事業の妨げになる可能性のある土地に対しては、立ち退いてもらう必要があるので、地権者には代わりに使用・収益ができる仮の土地を提供する必要があります。

この仮の土地を割り当てる行為もしくは仮の土地そのもののことを、仮換地と呼びます。

注意点としては換地処分が終わるまでの所有権はあくまで従前の土地にあるので、地権者は仮換地を所有しているわけではありません。

しかし使用収益が可能なので、割り当てられた土地に新たに建物を建てたり、土地そのものを売買にかけることも可能です。

以下に等価交換と換地処分の違いについてまとめた表を、よろしければ見比べてみてください。

等価交換換地処分
目的再開発事業・土地の価値上昇を目的とした有効活用宅地の利用増進を目的とした土地区画整理事業
適用される法律都市再開発法土地区画整理法
かかる時間5年~10年程度10年~15年程度

【補足】

 換地処分が等価交換に比べて、長い年月を要するのには法的手続きの煩雑さが主な原因となっております。

都市再開発の流れ

  1. 計画案策定
  2. 事業計画の決定・認可
  3. 土地の権利変換(等価交換)
  4. 建築物の工事着手
  5. 清算
  6. 建物の管理運営

換地処分の流れ

  1. 基本構想及び基本計画の作成
  2. 知事の計画許可
  3. 公告
  4. 施工
  5. 仮換地の指定
  6. 施工者による建築物等の移転・除去
  7. 公共施設の工事
  8. 換地処分
  9. 換地処分の広告
  10. 保留地の発生
  11. 換地処分に伴う登記
  12. 清算金の徴収・交付

換地処分では所有権の確定が区画整理の完了時であり、法定手続きの手順の多さ、幅広い所有者の数、また施工者が行政主導の場合が多く、手続きに慎重といった要素も含めて、区画整理には長い年月を要するといった特徴がございます。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
現代においても仕組みこそ複雑ですが、大昔の慣習が形を変えて残っていることは興味深い事例ではないでしょうか。
また等価交換は、資金調達の負担を抑えつつ土地活用や建物取得を実現できる有効な手法である一方、契約内容や税務上の取扱いには専門的な知識が不可欠です。
実際に活用する際には、信頼できる不動産会社や専門家の助言を得ながら将来の収益性や相続を含めた総合的な判断を行うことが重要です。

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By | 2025年10月9日

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