建物を一括賃貸するリスク

ご所有の建物をテナント様へ一括で賃貸をするケースにおいて、引き渡した後の建物本体や付属設備の点検、維持、監理区分をテナント様にて実施する取り決めをした場合、テナント様へ建物に関する管理も一任する事となるので、一見するとオーナー様のご負担が軽減される様に感じられますが、将来的には様々なリスクが隠れています。

1.建物の法定点検が未実施

消防点検や建築設備点検など、不特定多数の方が出入りする商業ビルなどは、法令で定められた様々な法定点検を実施しなければなりません。
また、昨今法令や条例の改正により、実施報告義務が課せられる場合なども出てきており、オーナー様は勿論、一任したはずのテナント様も気づかずに放置されてしまうケースも考えられます。

※法改正等により近年追加された法定点検例

    • フロン排出抑制法による空調機等の設備点検
    • 防火設備を有する建物の防火設備点検
    • 非常用発電機点検の強化

2.不具合個所の放置や仮対応のみ

そもそも建物の定期点検は、点検及び行政への報告が目的ではなく、建物が健全な状態で使用出来ているかを定期的に点検する事により、災害が発生した場合にも被害を最小限に食い止める為に実施するものです。
この法定点検をテナント様へ一任してしまうと、報告義務を賃貸借契約で課している場合でも、必ず報告されるとは限りません。
また、法定点検で故障や不具合個所の指摘が出た場合、当然費用が発生する事になります。
当然ながらテナント様は必要最低限の支出に抑える為、修繕を先延ばしにしたり、本来交換を要する設備を修理で対応されてしまうなど、定期点検や修繕の実施が適正に行われているかを、賃貸中に確認するのは非常に難しい事となってしまいます。

3.大きな問題が発生するのは賃貸借契約終了後

前述の様に、建物の管理をテナント様へ一任して賃貸した場合に、建物の不具合をオーナー様は把握するのは非常に困難です。問題が発覚するのは明け渡しが完了し、後継のテナント様がご出店される前の事前調査等の場合が多く、本来は交換するべき設備が小修繕のみで処理され、後継のテナント様より設備の修繕、交換が契約の条件となるなど、最終的にオーナー様のご負担にて多額の費用を投じて修繕を行う結果となってしまうリスクが隠れています。

明け渡し後に不具合が発覚した事例

ケース1)防災設備の不具合

消防設備点検をテナント区分としていた為、点検は実施されていたが、火災報知機の故障が放置されたままになっていた。

点検結果報告書はテナント様にて保管しており、オーナー様へ報告書の提出がされていなかった為、状況が不明のまま明け渡しを受けた。

ケース2)EV設備の不具合

EV会社より長年修繕要請が報告されていたものの、フルメンテナンス契約を締結していなかった為、不具合個所が放置されていた。

ケース1と同様、オーナー様へ報告書の提出がされていなかった為、状況が不明のまま明け渡しを受けた。

上記ケースにおいては、明け渡し後、オーナー様手配の点検業者により不具合が発覚し、防災設備の不具合個所や経年劣化による修繕も含め、多額の費用負担が発生してしまう可能性があります。

建物の維持、管理はオーナー様にて行うのがベスト

一括貸しで賃貸をする場合には、事前に現在の法令に準ずる点検項目や点検費用を事前に把握する事が大切です。
その上で、テナント様と賃貸借契約を締結する前に、事前に把握している点検項目、金額を管理費等の名目で契約をし、負担区分を明確にしておけば、契約締結後にテナント様と費用負担でトラブルを無くす事も可能となります。
また、オーナー様が点検業者に委託し、点検報告や要修繕箇所も全てオーナー様ご自身で把握する事が可能となりますので、前述の様なオーナー様のリスク軽減にもなります。
当社では、一括賃貸ご希望の物件につきましては、募集開始時にご依頼いただければ、法定点検の実施項目を洗い出し、管理・共益費としてテナント募集を行う事も可能です。
また、すでに営業を開始している物件についても、弊社に管理をご依頼いただければ、ご契約内容を確認の上、点検状況の確認や指導をお手伝いする事も可能です。

是非ご相談ください。

By | 2020年9月11日

関連記事