代理納付に関して

賃貸経営をされているオーナー様の中には、賃借人さんに賃料を滞納されて困っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

賃貸借契約を締結する際に、賃借人に家賃保証会社に加入を義務付けている場合はまだしも、そうでない場合は、賃料の滞納が発生すればその都度、賃借人に対して督促をかけなければなりません。

ただ、滞納する側(賃借人)にも、いろいろな事情があります。単なる失念や日常の雑事にかまけて滞納する賃借人は、督促に気がつけば支払うでしょう。問題なのは生活環境の変化に伴う経済的な理由による滞納の場合です。職を失い、収入が無くなったような場合、賃貸住居を賃借することは難しくなるので、賃貸借契約の解約を賃貸人に申し出るのが通常と思われますが、衣・食・住は人が社会生活する上での基礎になる部分ですので、そう簡単に放棄することはできません。そこで、そのような生活困窮者を助ける制度が生活保護法です。そして、その法律の中に「住宅扶助代理納付」が定められているのですが、昨年の全国での制度利用率は7月時点とはいえ僅か22%という状況で、制度自体の認知度がまだ薄いように思われます。

それでは、住宅扶助代理納付を利用する為の手順と注意点について、以下のとおり説明します。

1.賃借人に生活保護を申請する意思を確認
~生活保護は申請する意思の無い人へ強制的に適用することはできません。もし、本人に申請する意思はあれど、何らかの事情で役所まで手続きに行けないような場合は、親族が代理申請することもできます。また、役所まで行ける人が誰もいないような場合であれば、役所の担当者が自宅まで来て申請を受け付けてくれます。

2.生活保護が決定したら代理納付の申請
~これは、賃貸人が申請しますが、賃借人本人の同意書が必要です。代理納付が決定すると、賃料は役所から賃貸人に直接振り込まれます。ここが賃貸人にとっての最大のメリットと言えるでしょう。ただ、賃借人に生活保護以外の収入(給料、年金等)がある場合、その金額次第では代理納付できない場合があります。最近は独り身の高齢者に住宅物件を賃貸しているオーナー様も少なくないと仮定すると、年金受給者の賃借人の場合は注意が必要です。

例えば、都内に住む68歳の単身者で、賃料53,000円だった場合…
<最低生活費>※想定
月額133,870円(生活費80,870円、住宅費53,000円。医療費は除く)
【収入額】老齢厚生年金:月額100,000円

《計算》133,870-100,000=33,870

 

生活保護費は33,870円(生活費0円、住宅費33,870円)となり、この全額が本人へ支給、又は賃貸人へ送金(※福祉事務所によって異なる)。

…となれば、もし、上記算出の金額が全て賃貸人に送金されても、賃料53,000円との差額19,130円は賃借人へ直接請求をかけなければなりません。

3.住宅扶助費の基準額について
~代理納付が実行されても、その金額には一定の基準額があります。自治体ごとに異なりますので、最寄りの福祉事務所で確認が必要です。必ずしも現契約の月額賃料が満額補填されるわけではありません。

例えば、神奈川県横浜市の場合(※平成25年度)

(7人以上の世帯) 83,800円
(単身世帯) 53,700円
(2~6人世帯) 69,800円

 

4.部屋の広さについて
~住宅扶助費の基準額は、部屋の広さが15㎡以上で設定されており、それより狭い場合は基準額も低くなりますので、代理納付の金額も少なくなります。また、15㎡以下の物件の場合、環境面に問題有と役所が判断し、本人へ転居を勧めることもあります。以上が住宅扶助代理納付を利用する為の手順と注意点になりますが、その他の留意点として、代理納付を開始した後に賃借人との賃貸借契約が満了を迎える場合で、現契約を更新しようとする際に賃借人が負担する更新料も代理納付の対象になります。なお、代理納付の対象から管理費は除外されますのでご注意ください。

 

 

By | 2017年6月20日

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