
はじめに
更新料がある地域とない地域、なぜ違うのか?
店舗やオフィスを借りる際、「更新料は必要ですか?」という質問を受けることは少なくありません。
実は、事業用賃貸では地域によって契約条件が大きく異なります。
東京都では更新料が一般的な一方、大阪府では更新料がない契約が主流です。その代わりに保証金や敷引きという独特の商慣習があります。これらを知らずに契約すると、「東京と同じ条件で募集したのに決まらない」「大阪なのに更新料を設定してしまった」といったミスマッチが起こることがあります。
本記事では、全国の事業用賃貸における商慣習を整理し、地域ごとの特徴を解説します。
全国主要地域の契約条件比較
| 地域 | 更新料 | 礼金 | 保証金・敷金 | 償却・敷引き | 定期借家 |
|---|---|---|---|---|---|
| 北海道 | なし | 少ない | 3~6か月 | なし | 少ない |
| 東北 | なし | 少ない | 3~6か月 | なし | 少ない |
| 北関東 | 少ない | 少ない | 3~6か月 | 少ない | 少ない |
| 東京 | ★★★ | ★★ | 6~12か月 | 少ない | 増加中 |
| 神奈川 | ★★★ | ★★ | 6~12か月 | 少ない | 増加中 |
| 埼玉 | ★★★ | ★★ | 6~10か月 | 少ない | 増加中 |
| 千葉 | ★★★ | ★★ | 6~10か月 | 少ない | 増加中 |
| 愛知 | ★ | ★ | 6~10か月 | 少ない | 普通 |
| 北陸 | なし | 少ない | 3~6か月 | なし | 少ない |
| 京都 | ★★★ | ★★ | 6~12か月 | 少ない | 普通 |
| 大阪 | なし | ★★★ | 保証金中心 | ★★★ | 増加中 |
| 兵庫 | なし | ★★★ | 保証金中心 | ★★★ | 増加中 |
| 奈良 | なし | ★★ | 保証金中心 | ★★ | 少ない |
| 中国 | なし | 少ない | 3~6か月 | 少ない | 少ない |
| 四国 | なし | 少ない | 3~6か月 | 少ない | 少ない |
| 福岡 | なし | ★ | 6か月前後 | 少ない | 増加中 |
| 九州 | なし | 少ない | 3~6か月 | 少ない | 少ない |
更新料が一般的な地域
更新料が広く定着している地域は全国でも限られています。
- 東京都
- 神奈川県
- 埼玉県
- 千葉県
- 京都府
更新料は一般的に賃料1か月分前後が多く見られますが、法律で定められた制度ではなく、契約による任意の取り決めです。
更新料がほとんどない地域
以下の地域では更新料を設定しない契約が一般的です。
- 北海道
- 東北全域
- 北陸
- 大阪府
- 兵庫県
- 奈良県
- 和歌山県
- 中国地方
- 四国地方
- 九州地方
特に大阪・兵庫では「更新料なし」が商慣習となっています。
関東と関西で最も違うのは保証金制度
関東
- 更新料あり
- 敷金6〜12か月
- 礼金1〜2か月
- 敷引きなし
退去時には原状回復費用を差し引いて敷金を返還するケースが一般的です。
関西
- 更新料なし
- 保証金方式
- 解約引き・敷引きあり
- 礼金が高め
関西では保証金を多く預かる代わりに、退去時に一定額を償却する契約が今でも見られます。
保証金・敷金の目安
| 用途 | 相場 |
|---|---|
| オフィス | 6~12か月 |
| 飲食店 | 10~12か月 |
| 物販店 | 6~10か月 |
| サービス店舗 | 6~8か月 |
| ロードサイド店舗 | 6~12か月 |
※繁華街や駅前立地ではこれより高くなるケースがあります。
礼金の地域差
| 地域 | 礼金 |
|---|---|
| 東京 | 1~2か月 |
| 神奈川 | 1~2か月 |
| 愛知 | 0~1か月 |
| 大阪 | 1~3か月 |
| 兵庫 | 1~3か月 |
| 九州 | 0~1か月 |
大阪・兵庫では敷金より礼金を重視する傾向があります。
オーナーが募集条件を決める際のポイント
地域の商慣習を無視すると募集競争力が低下します。
例えば、
- 東京で更新料なしにすると競争力が上がることがある。
- 大阪で更新料を設定すると敬遠されやすい。
- 京都では更新料が受け入れられやすい。
- 福岡では更新料より保証金を重視する契約が一般的。
地域に合わせた条件設定が、空室期間の短縮につながります。
まとめ
事業用賃貸では全国一律のルールは存在せず、地域ごとの商慣習が色濃く残っています。
- 首都圏:更新料文化
- 関西:保証金・敷引き文化
- 地方都市:更新料なしが主流
貸主・借主の双方が地域の慣習を理解し、市場に合った契約条件を設定することが、早期成約と長期入居につながります。
貸しビルの募集条件でお悩みのオーナー様は、地域特性を熟知した管理会社・仲介会社へご相談されることをおすすめします。

