飲食店を入居させるにあたっての注意点

繁華街の店舗物件においては、入居テナントの割合として上位を占めるのが飲食店です。

飲食店と他業態の店舗との大きな違いは、物件の使用方法が多種多様であるということです。飲食といえども、提供されるメニューも和洋中のみならず様々なジャンルがありますし、酒類の提供の度合いや営業時間の違い、また、娯楽性を強調したコンセプトや、外資による日本初出店など様々であり、そして栄枯盛衰も激しい業界です。

 

これから飲食店を入居させようとお考えのオーナー様にとっては、このように一言で飲食店とくくって考えてしまうと後々思わぬところでトラブルが発生してしまう可能性があります。

 

そこで、こんなはずではなかった、と後悔することのないように、飲食店のテナントを入居させる際に特に注意して検討しておきたい項目の一例を挙げてみましょう。

 

建物に関して

まず第一に確認すべきは、建物の用途です。そもそも建物が新築時の建築確認時に飲食店として申請していなければ、飲食店の入居はほぼ難しいと考えて下さい。ただし、「用途変更」を行うことにより、飲食店の入居を可能にすることができる場合があります。これには、建築確認検査に加え、竣工時に建築完了検査を受けている必要があります。また、詳細な建築的な計算などが必要なため、竣工図はもちろん、専門の設計時事務所へ依頼するなど、費用と時間が必要となります。

さらに、飲食店で気をつけなければいけないのが火災です。前記のように建物の用途変更が必要ではなかったとしても、募集区画の前テナントが飲食店ではなかった場合などは、共用部の消防計画や設置する消防設備の変更などが必要となる場合があります。

 

電気、ガス、給排水等の設備

電気を使用するものは、パワーのあるエアコンや大型の冷蔵庫、最近ではハイテクな電子調理機器など様々ですが、いずれも多量の電気量を要します。

ガスも、一般的にはフードメニューの少ないカフェと本格的な中華料理店では使用量が異なり、ガスを多用する業態では、ガス管の口径が一定以上必要という条件があります。

 

また給水もガス同様なのですが、特に注意したいのが排水です。飲食店は油を使用します。その使用量や質は業態により様々ですが、とくに居酒屋や焼肉店などは多量の排気油が発生します。法的にはそのような油は産業廃棄物となり、グリストラップと呼ばれる設備を使用するなどして排水から除去して処分をし、排水管に流れていかないようにしなければなりません。もしこの油が排水管に流れ続けると、排水管内で油が固まり、目詰まりを起こす原因となります。そうすると、最悪その飲食店だけではなく、他のテナント区画も排水に不具合が起こってしまうことにもなりかねません。

 

衛生面

食品を使用する以上、入居テナントの食品の保管や破棄の方法がずさんな場合、その区画のみならず、ビルの他のフロアや建物外周、最悪の場合は、お隣含め近隣のビルまで影響がでて苦情を受けたり、トラブルになったりしてしまうことがあります。

例えば、店内やゴミ置き場が不衛生なため害虫がわいた、ゴミ置き場が敷地内になくビルの前に置いているが、ゴミの出し方がずさんでカラスがよく来てしまうことなどが挙げられます。

また、排気の臭いに関する苦情や、排気が無造作に隣のビルとの隙間に吹き出されていて、隣のビルの外壁が汚れてしまうことなどもあげられます。本来であれば周辺に影響が出ない場所へ排気できるように排気ダクトを設置すべきなのですが、入居時に排気量の想定を正確に行うのは専門性が高く、なかなか簡単にはできません。また、臭いは目に見えないため人によって感じ方が異なり、相容れない場合は解決が難しい問題となってしまいます。

 

営業時間

繁華街ではある程度許容されることもあるかもしれませんが、ベットタウンの駅前や商店街立地、住宅街と繁華街の間に位置するビル等ですと、営業時間が深夜に及ぶことで、夜中に店内のみならず店前で来客が大きな声を出してしまうことがあります。基本的に深夜まで営業している飲食店ですと、酒類の提供があり、泥酔している人の割合も高まります。そうすると店を出た後のマナーもなかなか守られないことが多くなります。

また、スナックや麻雀店等の業種は風営法により営業時間が決められています。

出店される業種の決まりをテナントに守ってもらえないと警察からの指導が入ってしまうこともあります。

このような注意点を十分にご検討された上で飲食店とご契約をいただければ、思わぬトラブルを未然に防ぐことが可能になります。

ただし、上記3つの事項の他にも、各業態によって注意すべき点や、さらに踏み込んだテナント個別の注意点など、細かく見ていけばさらに多岐にわたります。とくに初めて飲食店に賃貸するオーナー様にとっては、不安を拭うことができずに、なかなか思うようにテナント誘致ができないというご経験もあるのではないかと思います。

そのような場合は、店舗・事業系不動産専門の管理会社へご依頼をいただければ、オーナー様と、入居予定のテナントという異なる個性を有するお二方が、入居後円満にお付き合いをしていくための術をご進言させていただきます。

 

 

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By | 2016年8月18日

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