借主様が外国人の場合の問題

外国人が日本に滞在するためには在留資格(ビザ)が必要であり、これがなく日本に滞在すると不法滞在となり、刑罰や強制退去となります。現在日本では、27種類もの在留資格を定めており、就労が認められる在留資格、在留が認められない在留資格(留学など)、就労可否が指定される活動による在留資格、活動に制限のない在留資格(永住者や日本人の配偶者など)と大きく4種類に分けられています。今回ご説明の対象となる外国人は、全て在留資格を有している外国人を指しております。

昨今、日本国内の在留外国人数は増加傾向にあります。不動産業界においても、借主様が外国人であるケースも多くなり、それに伴い様々なトラブルが見受けられます。そこで今回は、特に問題視される「使用上のルール違反」「家賃滞納」「無断同居・無断転貸」の3点を取り上げてみたいと思います。

 

①使用上のルール違反

外国人の方の場合、日本と自国との文化の違いからくる生活習慣や常識の相違により、意図せずにルールを犯してしまうケースが多いようです。例としては、ゴミ出しのルールが守れず共用部を汚してしまったり、騒音などによる他テナントや入居者とのトラブル誘発が挙げられます。このような行為が継続されると、ビルの運営に多大な被害をもたらす可能性がでてきます。

それらを防ぐのは容易ではありませんが、入居審査時に日本語をどの程度理解されているか(話す・読む・書くことができるか、日本語の意味を理解しているかなど)は最低限確認をした上で、できれば面談などを通し人となりを把握することが望ましいと言えます。また、多少手間にはなりますが、契約書や特約条項・使用細則などの翻訳版を作成し、取り交わすこともトラブル防止につながるかと思います。

 

②家賃滞納

外国人の方の場合、日本国内に身寄りが少なく、連帯保証人や緊急連絡先を確保しづらいのが実情です。そのため、自国に帰国されてしまうなどして家賃の滞納が発生すると、賃料の回収が非常に困難となることが予想されます。日本から出国されてしまった場合、裁判などを起こし差押え請求をしたとしても、外国において差押え可能な財産を探知することが困難なため、事実上の回収不能状態となってしまうケースが多いようです。

このような事態を防ぐためには、日本人の方を連帯保証人につけるか、家賃保証会社を利用することをおすすめ致します。なお、近年では家賃保証会社を利用する場合、家賃保証会社が日本人の連帯保証人をつけることを条件に保証をするケースも増えております。家賃保証会社を利用した場合、万が一滞納が発生した場合でも、家賃の保証を受けることができますし、家賃保証会社によっては、明渡しまで保証するサービスも行っております。但し、家賃保証会社でも保証の免責事項を設定していることがあるため、利用する際は内容をよく確認し、注意することが必要です。

滞納が始まったら」のページ参照

 

③無断転貸

日本と外国では、法律の解釈に大きな隔たりがあり、日本では禁止されている賃借権の譲渡が、外国においてはさかんに行われることもあるようです。賃借権の無断譲渡が為されるということはつまり、無断転貸をされていることとなります。その無断転貸から発生するトラブルは、弁護士が対応する不動産絡みのトラブルの中でも、非常にやっかいなトラブルであるようです。その理由としては、裁判で出される判決は、被告とされた者に対してのみ効力が及ぶことを基本としているからです。例を挙げてご説明しますと、Aさんと賃貸借契約を締結しており、なんらかの理由により明渡し訴訟を起こしたとします。その結果、明渡し判決が出されて強制執行がされた際に、当該物件をBさんが占有していた場合、Bさんに対し明渡しを求めることができないということになるのです。その場合、再度Bさんに対し明渡し訴訟を起こす必要が出てくることとなります。このようなことを防ぐためには、物件を誰が占有しているのかを事前に確認することが必要となりますが、そのような確認をすることは非常に困難であるため、別の方法を取る必要がでてきます。

無断転貸の恐れがある場合は、明渡し訴訟を起こす前に、占有移転禁止の仮処分を行うことが有効です。これを行うことで、明渡し訴訟を起こすべき占有者を固定することができ、その後に占有者が移転されたとしても、その者に対しても明渡しの強制執行を行うことができるのです。いずれにしても、このような訴訟を起こす際には、弁護士に相談することが必要となります。

「弁護士費用って実際どのくらい」のページ参照

 

外国人の方に物件を賃貸借する場合、様々なリスクを負うこととなりますが、事前にそのリスクを把握することで、それらを回避・軽減することが可能となります。そのためには、不動産管理会社と相談した上で、様々なケースを想定しながら契約の締結をすることが必要となるのではないでしょうか。

 

 

By | 2017年2月21日

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