見えない火災 ~内部炭化~
日々ニュースの中で痛ましい火災事故の報道から、胸を痛める方も多いのではないでしょうか。今回は火災事故の中でもその発火原因から発見に時間を要し、結果重大な結果をもたらす、『内部炭化』についてお伝え致します。
発生要因
木材は、一般的に400℃位まで加熱しないと自ら発火はしません。しかし、壁面等を熱に強い材料で覆っていても、長期間熱を受け続ける事によって、木材の水分などが蒸発し、小さな穴が多数できます。
木材の「炭化」とは、200~300℃程度の熱を加え続ける事によってまず、木材の水分が蒸発して乾燥状態になり、同時に熱分解に因って炭素だけが残った状態になることをいいます。
この状態になると低温(100℃程度)の状態でも木材に着火することがあります。
キッチンの見える部分は不燃材の仕上げタイルや化粧パネルであったりと、傍目に火災は起きてません。しかし、その裏ではジワジワと発火に近づいているかも知れないのです。
内部炭化に因る火災を起こさない為に
- 調理後、時間経過も壁面に熱を感じないか確認する
- 火元と壁面の距離を十分に取る
- 距離をとれない場合は熱が伝わらない材料(ステンレス材・不燃性石膏ボード等)を壁との間に設ける。
- 寸胴のような大きい鍋や長時間の過熱は壁から離れたコンロを使用する
まとめ
弊社、総合施設管理ではラーメン店などの重飲食店舗も多く管理をお預かりしている、今回のテーマを挙げさせていただきました。
オーナー様におかれましては消防点検などのタイミングでご確認される事をお勧め致します。

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ロスナイ換気扇と普通の換気扇の違い
ロスナイ換気扇とは、三菱電機株式会社が開発した熱交換形換気機器です。
ロスナイ換気扇は、室内の空気を外に排出しながら、外の新鮮な空気を取り入れる際に、熱交換器を通して温度と湿度を交換し、室内の温度や湿度を保ちながら換気ができるため、冷暖房の効率が向上し、省エネ効果が期待できます。
一方、普通の換気扇は、単純に室内の空気を外に排出し、外の空気を取り入れるだけの機能を持っています。これにより、室内の温度や湿度が外気の影響を受けやすくなります。
ロスナイ換気扇
熱交換機能:ロスナイ換気扇は、室内の空気を外に排出しながら、外気を取り入れる際に熱交換を行います。これにより、室内の温度変化を最小限に抑え、冷暖房効率を高めます。
省エネルギー:熱交換機能により、エネルギー消費を抑えることができます。
静音性:ロスナイ換気扇は静音性が高く、稼働時の騒音が少ないため、寝室やリビングルームなど静かな場所にも適しています。
普通の換気扇
直接換気:普通の換気扇は、室内の空気を直接外に排出し、外気を取り入れます。熱交換機能はありません。
シンプルな構造:構造がシンプルで、取り付けやメンテナンスが比較的容易です。
コスト:一般的にロスナイ換気扇よりもコストが低いです。
ロスナイ換気扇は、特にエネルギー効率や室内の快適性を重視する場合に適しています。一方、普通の換気扇は、シンプルでコストを抑えたい場合に適しています。

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害獣被害(ネズミ等)について
昨今さまざまな場所でネズミ等の害獣被害が出ており、ビルオーナーの皆様もテナント様より多数お問合せがあったかと存じます。2024年6月にはマスメディアより10年前に比べ、被害件数が2倍に増えているといった内容もございます。
その為、害獣の中でも主にネズミに関する取扱いに関しての記事となります。
最近発見されているネズミの種類に関して
種類 | ドブネズミ | クマネズミ | ハツカネズミ |
大きさ | 22~26cm | 15~20cm | 6~9cm |
特徴 | 耳が小さく 尾が胴より短い | 耳が大きく 尾が胴より長い | 耳が大きく 尾が胴より短い |
生息場所 | 下水管、下水溝 公園等の地面 | 壁の中、天井裏 ビル内部 | 畑の中 |
住処 | 繁華街 | オフィス・住宅街 マンション | 郊外 |
行動パターン | 主に水平(横)行動 | 主に立体的(縦)行動 | 忍び込み |
ビル等においてのネズミによる被害例
・ビル設備における配管・配線系統の破損及び漏電・火災等の発生要因
⇒電線・配線・ケーブルがある付近はネズミの通り道となり、ネズミの歯は一生伸び続けるので歯を削るために硬いものをかじって歯を削ります。
その為、上記のような不具合及びリスクが発生いたします。
※他にも病原菌の媒介や不快感等心理的ストレスがございますが、直接ビルに与える影響ではない為、省略いたします。
駆除対策例
・侵入通路を塞ぐ
⇒各種の配線や配管、戸袋・玄関・天井裏・壁の隙間等を点検してネズミの侵入口となる隙間や穴を探します。
壁や天井に汚れや油が付着した身体で何度も通る場所には黒い汚れが残ります。
その黒い汚れを「ラットライン」と言います。
すべての侵入通路を塞いでしまうと隠れているネズミを閉じ込めてしまい、死骸で病原菌の繁殖及び異臭となるので通路1箇所を残し、トラップで捕獲します。



・美化活動に努める
⇒ごみ置き場等の周辺に食品及び残飯が長期的にそのまま置いておかれないような状態を防ぎ、周辺は清潔に保つように努めます。



・ネズミの捕獲
⇒ネズミを捕獲するために捕獲器・粘着シート・殺鼠剤(毒餌)散布の上、死骸回収など様々な方法で捕獲します。



いずれも市場におけるさまざまな製品があるため、一般消費者でも品物を揃えて作業することは可能です。
但し、ネズミの処理方法ならびに各ネズミに対する捕獲方法に関しては駆除専門の方に依頼した方がよろしいかと思います。
さまざまな観点からネズミ駆除の方針をしていただけるかと思います。
またネズミ駆除は行政の方でも注意喚起があり、専門業者の紹介サービスがあるため業者の選定に迷われた場合は建物に位置する役所にお問合せをいただき、紹介していただいた方がよろしいかと思います。
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建物の漏水時の検査方法や検査の重要性
今回は、建物の漏水時の検査方法や重要性についてお伝えします。
漏水は、原因が究明しにくく、工事をしても漏水が改善されないなどが起こってしまうこともあります。建物漏水の調査方法について具体的に解説します。
ビルの漏水時に劣化診断を行うための検査方法には、いくつかの手法があります。
以下に主な方法を紹介します。
◎目視検査: 漏水箇所や劣化の兆候を直接確認します。特に、外壁や屋根、窓枠などの目立つ箇所をチェックします。
◎水分計測: 漏水箇所の周辺で水分計を使用して湿度を測定します。高い湿度が漏水の兆候となることがあります。
◎散水試験:散水試験は、漏水が疑われる場所に直接水をかけ、実際に漏れが発生するかどうかを確認する方法です。
漏水が表面に現れている場合や、屋根や外壁の防水性能を確認する際に広く用いられます。
◎超音波検査: 超音波を使用して建物の構造材の内部に存在する空洞や劣化を検出します。
◎熱画像撮影: 熱画像カメラを使用して、建物の壁や屋根の温度分布を撮影し、漏水や劣化の箇所を特定します。
◎レーザー測定: レーザーを使用して、建物の表面の微細な変形やひび割れを検出します。
これらの方法を組み合わせて、漏水箇所や劣化の原因を特定できる場合があります。
漏水検査は、建物の安全性と住環境を守るために欠かせない作業です。
早期発見と対策を講じることで、経済的な負担を軽減し、建物の寿命を延ばすことができます。自己調査でできる範囲は限られていますが、定期的に点検することで大きな問題を未然に防ぐことができます。

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賃貸住宅メンテナンス主任者とは
賃貸住宅メンテナンス主任者の概要

賃貸住宅メンテナンス主任者とは
「賃貸住宅管理業者等が身に着けておいた方が良い賃貸住宅(低層アパート)の設備や維持保全における全般的な基礎知識を体系的に学べる公益財団法人が認定する資格」と定義されています。
※賃貸住宅メンテナンス主任者試験WEBサイトより
https://www.jpm.jp/maintenance/
この資格を持つことで、賃貸住宅のオーナーや管理会社、さらには入居者に対して、
快適・安全な住環境を提供するためのメンテナンス業務ができることを示すことができます。
主催団体と創設の経緯
賃貸住宅メンテナンス主任者資格は、「公益財団法人 日本賃貸住宅管理協会(日管協)」により、
賃貸住宅の管理における建物の維持・修繕ニーズの高まりに応じて設立されました。
近年では賃貸住宅の老朽化が進む中で、2021年6月に賃貸住宅管理業法が施行され
「賃貸住宅の維持保全」が管理業務として定義されて以来、
従来の家賃収納や入居者対応に加えて建物の維持・修繕業務の重要性が増しています。
これにより、賃貸住宅管理業務に従事する者に対して、建物の維持に関しても専門的な知識と技術を求める声が高まっていました。
そのため、賃貸住宅メンテナンス主任者資格は、賃貸住宅管理の実務において、
建物や設備の保守管理に関する知識を持つ専門家を養成し、業界の発展及び従事者のスキル向上を目指して創設されました。
資格取得に必要な内

賃貸住宅メンテナンス主任者の資格試験は誰でも受験が可能です。
資格取得のためには、賃貸住宅のメンテナンスに関する基本的な知識、技術、法規制を身につける必要があります。
WEBサイトによると、以下が学習範囲とされています。
・賃貸住宅のメンテナンスの重要性
・建物・設備の基礎知識
・修繕対応から学ぶ設備の基礎知識(給排水設備、ガス・電気設備、雨漏り)
・消防設備の基礎知識
・外部改修工事の基礎知識
・巡回点検業務のチェックポイント
・法令点検とコンプライアンス
・原状回復の基礎知識
資格取得後のキャリア
資格を取得した賃貸住宅メンテナンス主任者は、賃貸住宅管理会社や不動産関連企業でその資格を活かせる可能性が高いです。
特に、不動産管理会社では賃貸住宅のメンテナンスといった管理業務を担うことが多く、資格取得で得た知識が実務で活かせるでしょう。
また、資格を取得することで、賃貸住宅業界における信頼度が高まり、就職や転職などキャリアアップの際にも有利になることが予測されます。
まとめ
賃貸住宅メンテナンス主任者資格は、賃貸住宅管理業務における重要な資格であり、
その主催団体である日本賃貸住宅管理協会が、業界の発展と従事者のスキルアップを通じて
快適・安全な住環境を入居者へ提供することを目的として設立されました。
この資格を取得することで、今後さらに高まるであろう賃貸住宅メンテナンス業務の専門的な知識を身に付けることができ、自身のキャリアアップにもつながります。
興味がある方は一度受験されてみることをおすすめします。
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工事時に管理担当が気をつけること
各種工事の際に、工事業者へ伝えることや確認することを纏めました。
未然にトラブル等を防ぐために関係者は事前確認が必要です。
建物管理上、工事にあたり共通して依頼、確認する内容
① 工期、工事開始予定日、工事完了予定日
② 搬入経路
業者専用エントランス、エレベーター、一般エントランスなどエレベーターは利用者優先等配慮を依頼します。
③ 養生範囲
自動ドア、区画ドア、エレベータードア回り、エレベーター内、廊下等
足跡など廊下も汚れる可能性がある場合は、廊下も養生など依頼します。
④ 平日音出し作業可・不可
基本的にOKだが、他のテナントからクレームが出た場合は中止。
居住区画がある場合は平日のみ、事業用区画のみの場合は平日NGなど。
ドアを閉めた時、どのくらい音、振動が響くかなど確認します。
⑤ 工事のお知らせ
○週間前に掲示、工程表も掲示など
音出し工事日の記載、工事期間・時間の記載 例:9時~17時
その他、全区画お知らせの投函、近隣への挨拶などを依頼します。
⑥ 管理組合・管理会社への申請期間
工事1ヶ月前、2週間前までに申請など申請締め切り時期、審査期間を確認します。
参考:理事会の開催日などにより許可まで1ヶ月以上かかる場合もあり。
⑦ 警備会社への連絡
監視設備の工事による誤発報防止のため、事前に開始終了時間を連絡します。
⑧ 日中工事、夜間工事の制限
近隣住人、テナント、建物の開放時間等の状況により、制限がされます。
音、粉塵、臭気、振動等によりクレームがないよう注意が必要です。
作業の時間帯、建物のルールや規則等を考慮する必要があります。
オーナー、管理会社、管理組合、居住者、テナント等との調整が必要になる場合があります。
クレームが発生した場合は直ちに工事を中止する旨を事前に工事業者へお知らせします。
⑨ その他
OAフロアでは重量物を搬入又は移動する場合は床が凹んだり、陥没したり、設置した機器や棚が
転倒しないように耐荷重の注意が必要です。また、工事の材料を置く場合、コンパネ(12mm 以上など※参考)
を敷き養生をするよう依頼します。
⑩ 工事期間中の緊急連絡先
工事期間中の緊急連絡先を事前に把握します。
「工事のお知らせ」等にも緊急連絡先(工事業者社名、固定電話番号、担当者の名前、携帯番号を記載し
掲示板や各戸に投函により事前にお知らせ、掲示します。
⑪ 臭気が出る工程の確認
臭気が出る作業として、塗料、洗剤の使用等があります。
近隣関係者等に迷惑にならない日程、時間帯の作業を考慮する必要があります。
工事業者等に希望を確認し調整するもの
① 搬入時の業社車両駐車位置(駐車を希望する場合)
エントランス前、搬入車専用口他一時的にOK、○時~○時はOKなどを伝えます。
② 休日エントランス鍵対応
管理会社or借主にて開施錠。キーボックスにて対応など。
③ 工事時の水道・電気の使用
使用期間のみ契約など。
④ MDF、IDFの場所、開錠
回線工事の場合 MDF盤の扉の開錠要否等。
⑤ 火気が出る工程の確認
事前に工事業者より「火気使用願い」を提出いただきます。
それにより、火気を使用する場所、火気の種類を把握します。
工事中は火災感知器は生かしたまま作業します。
但し、粉塵、ガス、煙、火気により誤報の恐れがある場合は、予め工事業者等と打ち合わせをおこない、
無断で感知器を取外しや養生したりしないように工事業者に通知します。
作業場所には必ず消火器を置きます。又、その使用方法を事前に作業者へ確認依頼いたします。
残火確認として、火気使用作業完了1時間後(必要に応じて2時間後)までは常駐監視し、現地の異常の有無を確認します。
上記以外にも、物件により様々な対応や確認事項があると思います。物件ごとのルールをまとめ、
円滑に工事がすすむように、各管理担当が注意を払い対応することが必要になります。
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OAフロアとは
OAフロアとはオフィスオートメーションフロアの略称で、オフィス内での配線や設備を効率的に管理するための床下に収納する二重構造の床のことを言います。
下記写真のように本来の床(床スラブ)の上にパネル(フロアパネル)を敷くことで床を二重構造にし、間にできた空洞部分に配線類を収納します。


OAフロアの種類
一般的にOAフロアも2種類に分けられます。
・置敷タイプ

・支柱タイプ

それぞれ施工期間及び費用が異なり、後者の支柱タイプの方は工期が長く、費用が高いところから、多くの企業が置敷タイプを採用しております。
支柱タイプはサーバールーム等で使用されているケースがございます。
入居するテナントに応じてオーナー側で床の造作をするケースもあれば、スケルトン貸しでテナントにて造作するケースもあります。
オーナー側で検討するのは所有しているビルに入るテナントを予測し、使用しやすい内装であれば、空室リスクも減るかと思います。
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グリストラップとは
「グリストラップ」(Grease Trap)は文字通り、油脂(Grease)をせき止める(Trap)ための装置です。
飲食業に従事した方なら耳にしたことがあるこの装置が、どのような役割を担っているのかを明らかにすることが本記事のテーマです。
毎日多くの食材や油を使う飲食店、それに付随するように洗い物が多く出ることは想像に難くありません。お皿やまな板に付着した残飯や野菜くず、油脂分などをそのまま排水してしまうとどうなるでしょうか。自然環境に悪影響を及ぼすことはもちろんですが、排水設備のつまりや破損につながり、お店の営業活動にも大きな損失を与えます。
グリストラップとは、飲食店の排水に含まれる油脂や生ごみが直接下水に流れることを防ぎ、お店を守り、ひいては自然環境を守るための装置なのです。

グリストラップに関わる法令
飲食店において、グリストラップの設置は義務なのでしょうか。
結論から申し上げますと、法律では明確に義務化されておりません。ただし、自治体単位で条例にて義務化されている場合があり、東京都では、都内で飲食店を営むためには、グリストラップの設置が条例にて規定されています。
(東京都下水道条例施行規程 第三条の二 https://www.gesui.metro.tokyo.lg.jp/about/e9/regulations/kitei/index.html )
また、各自治体が条例の出典としている3つの法令をご紹介します。
① 建築基準法
「建築基準法」第129条には、国土交通省が定めた構造方法にて、排水のための配管設備を設置するように記されています。その構造方法については、旧国土交通省である建設省が、「建設省告示第1597号」にて「汚水が油脂、ガソリン、土砂その他排水のための配管設備の機能を著しく妨げ、又は排水のための配管設備を損傷するおそれがある物を含む場合においては、有効な位置に阻集器を設けること。」としております。
② 下水道法
③ 水質汚濁防止法
「下水道法」「水質汚濁防止法」においては、公共下水道に流すことができる水の質を規定しています。とりわけ、ノルマルヘキサン抽出物質を含む排水は、そのまま排出すると、配管の閉塞や腐食、異臭が発生する原因となり、グリストラップの重要性をあらためて感じさせます。
グリストラップの構造
グリストラップの構造は、3槽に分かれています。

① 第1槽
厨房等から排出された水は、1槽目にあるバスケット部分に入ります。残飯や野菜くず等の大きなごみは回収されます。バスケットの網目を通り抜けるごみについては、下部に沈殿します。
② 第2槽
油は水よりも軽いため、油分は水面に浮上します。
③ 第3槽
第2槽までである程度ごみや油分が取り除かれ、最後にトラップ管があるため、できる限り異物がない状態で下水道へ排水されます。
グリストラップのメンテナンス
グリストラップのメンテナンスは、厨房の衛生を保ち、排水トラブルを防ぐために非常に重要です。
① バスケットの清掃
バスケットに溜まったゴミや残飯を取り除きます。ネットを使用すると、ゴミを簡単に取り出せます。
② 油分の除去
油脂分離槽に浮かんだ油を定期的に取り除きます。
③ 沈殿物の除去
底に溜まったヘドロをすくって取り除きます。週に一度ペースで行うことが推奨されています。
④ トラップ管の清掃
2~3ヶ月に一度、トラップ管の内部を清掃します。定期的なメンテナンスを怠ると、悪臭や配管の詰まり、害虫の繁殖などの問題が発生する可能性があります。特に夏場は臭いが強くなるため、こまめな清掃が重要です。
おわりに
グリストラップはお店を守ること、ひいては自然環境を守るための装置です。適切な管理を行うことは衛生面において非常に重要な要素です。
弊社では事業用不動産に特化し、ビルの管理運営業務を行っています。グリストラップにつきましてメンテナンスや設置のご相談等ございましたら、お気軽にご相談くださいませ。
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法人テナントに保有している物件を本店として登記させるリスク
まず、法人登記について確認していきましょう。
法人設立時に「本店」となる住所が必要
法人を設立する際、登記申請書という書類を作成し法務局へ提出します。
その登記申請書の中に「本店」として住所を記載する欄があり、その名の通りその法人の本店がどこにあるのか(どこにオフィスを構えているか)を示します。(以下、この住所を「本店所在地」と呼称します)
すでに設立されている法人の本店所在地は履歴事項全部証明書で確認することが可能です。
また、よく「本社」という言葉を耳にすることがあると思いますが、法人設立の際は本社という言葉は使いません。
ただ、ほとんど同じ意味で使用されており、企業のHPや会社のパンフレットに記載されている本社と、履歴事項全部証明書に記載されている本店所在地が同一であることが多いようです。
本店所在地に法律上の制限はある?
本店所在地は自己所有・賃貸かを問わず、日本国内であれば自由に選ぶことができ、法律上は特に制限がありません。
ただ、賃貸物件を本店所在地として登記する場合は、オーナーの許可を得てから行うのが一般的です。登記後に事後報告を受けた、もしくは無断で登記していたことが発覚した場合などは、そのテナントには注意が必要です。
一方、建物の管理規約や賃貸借契約書で本店として登記することを禁止することが出来ます。特に、多くのマンションでは管理規約で禁止していることが多いようです。
所有しているビルをテナントに本店所在地として登記させるメリットやリスクはある?
入居テナントから「ビルを本店として登記してもよいでしょうか」という質問を受けたビルオーナーの方も多いのではないでしょうか。
メリットとしては「ビル全体の信用度が向上することがある」が挙げられます。
いわゆる上場企業や大手企業が、ビルを本店所在地として登記した場合、これらの企業が本店登記するようなビルとして他のテナント等からの信用が向上する可能性があります。
デメリット・リスク
本店所在地として登記した法人がトラブルを起こしたり、倒産した場合、トラブルの関係者や債権者等がビルを訪問し、ビルの運営に悪影響が出る可能性があります。
これは、本店所在地として登記した場合に限りませんが、住所が履歴事項全部証明書に記載されていることから、より上記リスクが高まることがあります。
「契約後、本店所在地として登記したい」と、入居前の法人に相談された場合はどうすればいい?
一概に本店所在地として登記するからといって入居を断る必要はありません。
一方、その法人の事業内容や規模、業績等については詳細に確認し、所有している物件の空室状況等から総合的に判断するとよいでしょう。
不動産オーナーとして「法人が本店所在地として物件を登記する」とはどういうことか理解することで、未然にトラブルを防いだり、ビルの信用を向上に繋げられる可能性があります。
特にビルや店舗物件オーナーの皆様はこのような場面に遭遇するが比較的多いため、十分に理解しておくことをおすすめいたします。

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地震保険はなぜ必要なのか
地震大国と言われる日本では、地震への備えは必要となります。ただし、火災保険に地震保険をセットすると保険料が上がってしまうため、実際に加入するときは判断に迷います。
今回はその地震保険の必要性について解説します。
事業用での地震の補償に対応するものが地震拡張担保特約(地震危険担保特約)というものです。 家計地震保険との相違点は、家計地震保険は保険料が一律なところです。地震拡張担保特約は各保険会社が独自なので保険料も各社それぞれの保険金額となります。地震拡張担保特約は全ての建物で契約できるわけでなく、保険会社に申請し承諾してもらう事で契約できます。申請しても状況によっては断られることもあります。
自然災害が多発している今だからこそ、事業用物件の地震保険を検討することは重要です。
地震保険の必要性
➀地震リスクの高い地域: 日本は地震が多い国であり、特に地震リスクの高い地域に物件を所有している場合、地震保険は非常に重要です。大規模な地震が発生した際の損害をカバーするために、地震保険は有効です。
➁経済的なリスク管理: 地震による損害は修繕費用が高額になることが多く、地震保険に加入していないと、自己負担での修繕が必要になります。地震保険は、こうした経済的なリスクを軽減する手段となります。
➂住宅ローンの返済: 地震で物件が損壊した場合でも、住宅ローンの返済は続きます。地震保険に加入していれば、保険金を利用してローンの返済に充てることができるため、経済的な負担を軽減できます。
➃賃貸経営の安定性: 賃貸物件を所有している場合、地震による損害で入居者が退去するリスクがあります。地震保険に加入していれば、修繕費用をカバーできるため、早期に物件を修復し、賃貸経営の安定性を保つことができます。
地震保険のメリットとデメリット
メリット
- 地震による損害をカバーできる。
- 経済的なリスクを軽減できる。
- 住宅ローンの返済に充てることができる。
- 賃貸経営の安定性を保てる。
デメリット
- 保険料が固定費として発生する。
- 全損でない場合、補償額が限定的であることがある。

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防煙垂れ壁について
はじめに
よく商業施設等で見られる天井についている透明な壁、ご覧になったとことはありますでしょうか。
これは防煙垂れ壁と呼ばれるもので、建物内部で発生した煙の移動を防ぐために設置される垂れ壁です。建築基準法では「防煙壁」とも呼ばれ、煙を一定の面積ごとに区画する役割を持っています。
役割
- 煙の拡散抑制
- 火災発生時に発生する煙の拡散を抑制することで、避難経路を明確化し、安全な避難時間を確保することができます。
- 火災区画形成
- 防煙垂れ壁を設置することで火災区画を形成し、火災の延焼を抑制することができます。
- 空調効率向上
- 防煙垂れ壁を設置することで空調空間を分断し、空調効率を向上させることができます。
材料と設置場所
- 材料
- 不燃材料で作られるか、不燃材料で覆われる必要があります。一般的にはガラス、コンクリート、金属が使用されます。
- 高さ
- 通常500ミリメートル以上が必要ですが、特定の条件を満たす場合は300ミリメートルまで緩和されることもあります。
- 設置義務対象
- 延床面積500㎡を超える特殊建築物、延床面積500㎡を超える3階建て以上の建築物
身近にみられるものにも設置している理由などがあります。特に消防設備につきましては店舗・商業施設においては様々な場所に設置してありますので、気になるものがあれば一度役割を調べておくのも良いかもしれません。
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空気環境測定とは

1.はじめに
空気環境測定――私たちの生活にどのように関わってくるのでしょうか。
2024年、コロナ禍は落ち着きを見せ、私たちは平常の生活を送れるようになり、旅行やショッピングへの足取りも軽く、不特定多数の人が利用する商業施設への入場規制もなくなりました。
「空気」は私たちの周りに常にあるものではありますが、目に見えないものです。事実、コロナ禍においては、各自治体から建物内における「換気の悪い密閉空間」に対する警鐘が、空気環境測定の必要性と共に、鳴らされていました。
空気環境測定は、目に見えない空気を測定することによって、私たちの日常生活に安全と安心を与えてくれる点検作業なのです。
2.空気環境測定とは
オフィスビルや商業施設等の空気中の成分を測定し、私たちが健康で衛生的に過ごせる環境かどうかを点検する作業であります。
特定建築物の所有者や占有者など、その建物の維持管理に責任を持つものは、建築物衛生法に基づく「建築物環境衛生管理基準」に従って建物を維持管理する必要があります。
この基準は、空気環境の調整、給水および排水の管理、清掃、ねずみや昆虫の防除など、環境衛生上良好な状態を維持するために必要な措置を定めており、快適な環境を実現することを目的としています。
空気環境測定を行うには「空気環境測定実施者」と呼ばれる専門資格者を配置する必要があります。空気環境測定実施者は、建築物衛生制度の一環として、ビルや工場内の空気環境を測定するための資格です。この資格を取得するには、空気環境測定実施者講習を受講し、試験に合格する必要があります。 空気環境測定実施者は、次に記す点検項目を実施します。
空気環境測定実施者は、次に記す点検項目を実施します。
3.点検項目
項目 | 基準 | 測定方法 |
---|---|---|
1.浮遊粉塵の量 | 空気1m3につき0.15mg以下 | グラスファイバーろ紙を装着して相対沈降径が概ね10μm以下の浮遊粉塵を重量法により測定する機器 |
2.一酸化炭素の含有量 | 空気1m3につき100万分の6以下 | 検知管方式による一酸化炭素検定器 |
3.二酸化炭素の含有量 | 空気1m3につき100万分の1,000以下 | 検知管方式による二酸化炭素検定器 |
4.温度 | 18度以上28度以下 居室における温度を外気の温度より低くする場合は、その差を著しくしないこと | 0.5度目盛の温度計 |
5.相対湿度 | 40%以上70%以下 | 0.5目盛の乾湿球湿度計 |
6.気流 | 0.5m毎秒以下 | 0.2m毎秒以上の気流を測定できる風速計 |
7.ホルムアルデヒドの量 | 空気1m3につき0.1mg以下 | 高速液体クロマトグラフ法により測定する機器、トリアゾール法により測定する機器または厚生労働大臣が別に指定する測定器 |
4.義務付けられている施設
「特定建築物」において、空気環境測定は義務付けられています。
「特定建築物」とは、興行場や百貨店、店舗、事務所や学校、共同住宅等、多数の者が使用し、特定の用途に供される部分、およびそれに付随する共用部や駐車場の床面積の合計が3,000m2以上(学校は8,000m2以上)となる建築物を指します。
5.測定方法・回数
空気環境測定の方法は、厚生労働省告示第117号に基づく清掃作業および清掃用機械器具の維持管理を基準としています。
- 空気環境の測定は、規則第三条の二第一号に定める方法に準じて行うこと。
- 空気環境の測定結果を5年間保存すること。
- 測定器の点検、較正、整備、修理を定期的に行い、点検等の記録を測定器ごとに整理して保管すること。
- 空気環境の測定および機械器具の維持管理は原則として自ら実施すること。
他者に委託する場合は、受託者の氏名等を建築物維持管理権原者に通知し、受託者の業務が基準を満たしていることを常時把握すること。
測定結果の保存は自ら実施すること。 - 苦情および緊急の連絡に迅速に対応できる体制を整備しておくこと。
空気環境測定は2ヶ月以内に1回の頻度で行います。ただしホルムアルデヒドの量を測定する場合は例外で、「新築、増築、大規模の修繕又は大規模の模様替えを完了し、その使用を開始した時点から直近の6月1日から9月30日までの間に1回」行うものとされています。
定期点検を怠った場合、罰則や行政処分の対象になる可能性があります。
6.おわりに
我々の目に見えない空気、安全性が守られていることで建物を利用する人に安心感を与え、健康を守ります。
弊社では事業用不動産に特化し、ビルの管理運営業務を行っています。
空気環境測定につきまして費用のご相談等ございましたら、お気軽にご相談くださいませ。
第三条の二 令第二条第一号ハの規定による測定の方法は、次の各号の定めるところによる。
一 当該特定建築物の通常の使用時間中に、各階ごとに、居室の中央部の床上75センチメートル以上150センチメートル以下の位置において、「3.点検項目」表の左欄に掲げる事項について当該各号の右欄に掲げる測定器(「3.点検項目」表の2号から6号までの右欄に掲げる測定器については、これと同程度以上の性能を有する測定器を含む。) を用いて行うこと。
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地番と住居表示の違いについて
「地番」と「住居表示」の違いはその目的にあります。
目的
地番(ちばん):土地の管理や登記を目的としており、土地の所有権や面積、境界を示す。
住居表示:住所(建物)を特定しやすくし、郵便配達・行政サービス等の効率化を目的とする。
地番の歴史
地番の始まりは明治時代まで遡ります。日本政府は土地の所有者からの租税(税金)徴収を目的に、所有者を明確にするための「地租改正」を行いました。これにより土地の測量と登録が義務化されると同時に地番制度が整備され、土地が地番によって管理されるようになりました。
地番は土地の面積や境界を示し、登記簿に記録されます。
土地の売買や相続の際には、地番を基に登記簿を確認し、土地の権利関係を明確にするために使用されます。

住居表示の歴史
先述の地番は、数字の順序通りに整然と並んでいないことや、一つの地番に複数の住宅が存在するため、
郵便配達や各種行政事務においてミスや問題が発生する要因となっていました。
そこで1947年(昭和22年)に、特に都市部の住所をより明確にし、各種サービスの効率化を図るために導入されたのが住居表示制度です。

表記の違い
地番:土地ごとに設定される番号で、例えば「新宿区西新宿1丁目102番地26」など。
住居表示: 町名、丁目、番地、号の組み合わせで、例えば「新宿区西新宿1丁目19番8号」など。
一方で、住居表示が行われていない地域もあり、特に都市部以外ではその傾向が顕著です。
同じ場所でも2つの表記
住居表示実施済み地域では、同じ場所でも地番と住居表示でお互いの表記が異なります。
従って、住居表示のみでは土地の登記簿謄本を取得することができません。
また、住居表示実施済み地域では、地番がわかっていても住居表示がわからなければ、郵便物などを送ることは出来ません。
地番を確認する際は、旧住所を調べることで明らかになります。また、「住居表示地番対照住宅地図(ブルーマップ)」を利用する方法もあります。

※弊社が入居している新東京ビル周辺のブルーマップ。
住居表示は「東京都新宿区西新宿1丁目19番8号」ですが、地番は「東京都新宿区西新宿1丁目19番18」となります。
地番と住居表示を取り違えてしまうケースもありますので、不動産取引の際は両者の違いには十分ご留意ください。
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電気系統設備に関して
ビルオーナー様は建物敷地内に下記写真のような設備を見たことがあるのではないでしょうか。

高圧キャビネット

キュービクル
当該設備はビルの運営にあたり、大変重要な電気設備となります。
昨今、温暖化の影響により不規則な気候状況で雷雨または設備不具合等による地域停電や停電も増えているかと思います。
この度の記事は、ビルの運営をされているオーナー様の一つの知識として頭の片隅に入れて頂ければと思い、ご紹介いたします。
当該設備は法定点検が下記のように義務付けられている設備となります。
月次点検
内容:外観点検、漏洩電流測定、電圧・電流測定
点検回数:毎月1回または隔月に1回
※キュービクル内に絶縁監視装置の有無により、点検回数が変更となります。
年次点検
内容:外観点検、観察点検、絶縁抵抗測定、継電器動作試験、漏洩電流測定、電圧・電流測定、保護装置動作試練
点検回数:ビル内全館停電を行う作業(年に1回または3年に1回)
※条件次第でビル内全館停電を3年に1回にすることも可能となります。但し、年次点検(無停電)は年に1回必要となります。
こんなとき、どうしよう
①ビルの1区画のみ電気が使用できない場合
- 使用しているブレーカー周りを確認頂きます。
- ブレーカー周りを確認して、どこも異常がない場合は電気事業者様へ連絡下さい。
電気工事がAまたはB工事であれば⇒オーナー様もしくは管理会社側の業者
C工事であれば⇒テナント様の業者
②ビル全体で電気が使用できない場合
パターン1
- 電力送配電会社に連絡を行い、近隣ビルも停電が起こっているか確認下さい。
- 近隣ビルで停電が起こっている場合は、電力送配電会社が順次作業を行なっている為、待機。ビルのキュービクルを管理している主任技術者に連絡下さい。
- 電力送配電会社の作業で復旧の場合は、対応終了。
※ビルの全館停電が起こった場合、キュービクル内高圧交流負荷開閉器(LBS)が落ちている為、復旧する場合には上げる必要があり、主任技術者にて作業をする場合があります
パターン2
- 電力送配電会社に連絡を行い、近隣ビルも停電が起こっているか確認下さい。
- 近隣ビルで停電が起こっていない場合は、ビルのキュービクルを管理している主任技術者に連絡下さい。
- 主任技術者に設備内を点検してもらい、しかるべき工事または対応が必要となります。
※キュービクル内の電気設備は、多量の電流が流れており、触ることは事故に起因する為、主任技術者又は電気設備の知識を有する方へ依頼しましょう。
キュービクル内 設備の紹介

高圧交流負荷開閉器

配線用遮断器

変圧器(トランス)
高圧交流負荷開閉器
配線道路や設備機器の故障などによる電気事故が発生した際に、電気供給の遮断を行う装置
配線用遮断器
規定を超える過電流が生じたときに電路を自動的に遮断するための保護装置
変圧器(トランス)
高圧電力を低圧に変換する装置
いかがでしょうか。
事業用ビルにおいて、電気事故は入居テナント及び近隣ビルに影響する大きい事故となります。主任技術者の助言を受けながら、今一度自身で所有しているビルの整備状況などを見直す機会になれば、幸いでございます。
他UGS等の高圧キャビネットに取り付ける装置等に関する記事も下記リンクよりご覧いただけますと幸いでございます。
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事業用不動産と消費者契約法について

はじめに
不動産賃貸ではあらゆる法律が関係し、代表的なものに借地借家法があります。
借地借家法は大原則は「借主保護」の考え方なのですが、今回は事業用不動産と消費者契約法を軸に解説します。
消費者契約法とは
消費者契約法は、消費者と事業者が締結する契約において、情報や交渉力で劣る消費者を保護するための法律です。
不当な勧誘による契約の取り消しや、不当条項の無効、適確消費者団体による差止請求など、消費者の利益を守り、国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的としている法律です。
「消費者」と「事業者」とは
ここで「消費者」と「事業者」という人物が出てきました。それぞれ法的な定義は下記の通りです。
消費者契約法 第二条(定義)
この法律において「消費者」とは、個人(事業として又は事業のために契約の当事者となる場合におけるものを除く。)をいう。
2この法律(第四十三条第二項第二号を除く。)において「事業者」とは、法人その他の団体及び事業として又は事業のために契約の当事者となる場合における個人をいう。
3この法律において「消費者契約」とは、消費者と事業者との間で締結される契約をいう。
つまり、簡単にまとめると下記の通りです。
法人・・・事業者
個人で事業または事業のために当事者であるもの・・・事業者
上記に該当しない個人・・・消費者
不動産賃貸借における消費者契約法
住宅を借りる場合で見てみましょう。
借主が個人 | 消費者契約法の対象 |
借主が法人 | 消費者契約法の対象外 |
まず、借主が個人で住宅を借りる場合には当然に住居として借りている限り、事業性はありません。
ゆえに、この場合の借主は消費者契約法における「消費者」として保護の対象になります。
また反対に、法人が住宅を借りる場合であっても法人であるからには事業性をもって借りています。よって消費者契約法の対象外となります。
次に、店舗・事務所のような事業用不動産を借りる場合を見てみましょう。
借主が個人 | 消費者契約法の対象外 |
借主が法人 | 消費者契約法の対象外 |
住宅と違い、個人名義であっても事業用不動産を借りる目的が事業として又は事業のために契約の当事者になることですので、消費者契約法の対象外となります。
実務においての差
例として、消費者契約法が適用された令和4年12月12日に最高裁判決を紹介します。
(概要)
賃貸人と賃借人(消費者)との間の賃貸借契約に関し、賃借人が家賃債務保証業者に対して賃料債務等を連帯保証することを委託した。その中には、家賃債務保証業者は一定の賃料滞納があったときに無催告で賃貸借契約を解除できる旨の条項及び、家賃債務保証業者は賃料滞納がある等の所定の要件を満たした場合、賃貸物件の明渡しがあったものとみなすことができるとする条項があり、これが消費者契約法違反に抵触するのではないか争われた裁判。
(判例)
消費者契約法10条に違反して無効
※詳しい詳細はお調べいただけますと幸いです。
このような事例の場合、消費者契約法に違反しているから無効、ということは言い換えれば消費者契約法に該当しなければ一定の範囲で有効とも読み取れるものです。
事業用不動産の賃貸借は、いわばプロとプロでの契約であり、借主といえども特別に保護する理由はないと解されます。
最後に
一般の住宅の賃貸借とは違い、事業用不動産の場合は消費者契約法に該当しないため、契約書の内容等が最大限尊重される傾向にあります。
そういった背景があるからこそ、事前にリスクになることが想定されることは契約書の内容でカバーし、余計なトラブルや支出を回避することが重要です。
当社は事業用不動産専門の管理会社として、事前に想定されるリスク等をご提案し可能な限りビルオーナー様の資産を守るようにお手伝いしておりますので、お気軽にご相談ください。
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火災保険の必要性について
今回は、火災保険の必要性についてお伝えします。
火災保険とは、建物や家財の損害リスクを回避するための保険です。火災だけでなく、水災や風災など幅広く補償するため、いざという時に必要です。
また、保険の種類によっては、火災の他に風災、雪災、水災、盗難による損害なども補償の対象になります。名前こそ火災保険となっていますが、損害に備える保険と言えます。
火災保険に加入していないことにおけるリスク
近隣の建物の火災に巻き込まれた場合
火災が近隣の建物から発生しその火が所有物件に燃え移ったとしましょう。この場合は隣の建物の所有者に対して損害賠償請求できない時があります。
これは失火責任法という法律で「失火による火災では重大な過失がある場合を除いて賠償責任を負わない」となっております。つまり、近隣からの“もらい火”で火災が起きたときでも、損害分は自己負担で直さなければなりませんが、火災保険に加入していれば、損害分が補償されます。
火災を起こしてしまった場合
所有物件から出火してしまった場合はどのようになるでしょうか。火事で建物や設備品が焼失してしまったら、利害関係者の引っ越しや建物の建て替えが必要となることもあります。火事後に残ってしまったものを片付ける費用も必要です。そのような場合でも保険会社によっては、残存物の片付け費用などをオプションで用意していることもあります。
自然災害が起きた場合
災害で建物や設備品が被害を受けた場合、多額の費用を必要となる場合があります。仮に洪水による床上浸水で床や壁が濡れてしまったら、張替え費用が発生します。
近年、台風や洪水などの自然災害の発生数は、温暖化の影響もあり増加傾向にあり、河川や海のそばや山・崖の近くの建物は、自然災害による損害のリスクも高くなるでしょう。また、安全に見える地域でも、ハザードマップを確認すると災害リスクが高い場合もあります。火災保険に加入する前にハザードマップを確認して、所有物件の災害リスクを理解し、必要な補償を決めましょう。

火災保険に加入する事はビジネスにおける様々なリスクから守るため、重要な手段です。
事業向けの火災保険は、建物や設備、商品などの財産損害をカバーするだけでなく、災害による休業損害も補償することができます。
事業内容やリスクに応じて、適切な補償内容を選択することが重要です。例えば、自然災害や盗難、水漏れなど、多岐にわたるリスクに対応する特約を組み合わせることで、災害におけるリスクを減らすことが可能です。
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重要事項説明の説明タイミングについて

はじめに
今回は賃貸借の際に借主に説明をする「重要事項説明」の意味、説明タイミングについて触れたいと思います。
ビルオーナー様からみれば直接関わることは少ないものですが、トラブルにも発展しかねない内容ですのでご一読いただけますと幸いです。
重要事項説明をしなければならない取引
不動産の賃貸借においては、ほとんどの取引態様で重要事項説明が義務付けられています。
ただし、自ら賃貸に関しては宅地建物取引業法に該当しないため必要がありません。
重要事項説明のタイミングについて
宅地建物取引業法 第35条には下記の通り記載があります。
(重要事項の説明等)
第三十五条 宅地建物取引業者は、宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の相手方若しくは代理を依頼した者又は宅地建物取引業者が行う媒介に係る売買、交換若しくは貸借の各当事者(以下「宅地建物取引業者の相手方等」という。)に対して、その者が取得し、又は借りようとしている宅地又は建物に関し、その売買、交換又は貸借の契約が成立するまでの間に、宅地建物取引士をして、少なくとも次に掲げる事項について、これらの事項を記載した書面(第五号において図面を必要とするときは、図面)を交付して説明をさせなければならない。
つまり、賃貸借でいえば「その賃借の契約が成立するまでの間に、宅地建物取引士をして、書面を交付して説明をしなければならない」とありますので、契約までに実施する必要があります。
では、実際に本質的な意味で契約までに実施すればいつでも良いのか?という疑問が生まれます。
国土交通省が発信している「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」では、下記の通り記載があります。
第35条第1項関係
1 重要事項の説明について
宅地建物取引業者は、重要事項の説明に先立ち、重要事項の説明を受けようとする者に対して、あらかじめ重要事項説明の構成や各項目の留意点について理解を深めるよう、重要事項の全体像について書面を交付して説明することが望ましい。この場合、交付する書面は、別添2を参考とすることが望ましい。本項各号に掲げる事項は、宅地建物取引業者がその相手方又は依頼者に説明すべき事項のうち最小限の事項を規定したものであり、これらの事項以外にも場合によっては説明を要する重要事項があり得る。重要事項の説明は、説明を受ける者が理解しやすい場面で分かりやすく説明することが望ましく、取引物件に直接関係する事項であるため取引物件を見ながら説明する方が相手方の理解を深めることができると思われる事項については、重要事項の全体像を示しながら取引物件の現場で説明することが望ましい。ただし、このような場合にも、説明を受ける者が重要事項全体を十分把握できるよう、従来どおり契約の締結までの間に改めて取引主任者が重要事項全体の説明をすることとする。なお、重要事項の説明を行う際には、別添3に示す「重要事項説明書」を参考とすることが望ましい。
ここで焦点としたいのは、「あらかじめ」「理解を深める」「理解しやすい場面で」というものです。
実務で多く見られるのは、契約書への捺印の直前にはじめて重要事項説明の内容を知らされ、当然説明はあるもののあらかじめ把握をしたうえで、理解が深まる説明を受けているかといわれると疑問符が残ります。
その上、借主によっては時間軸的に今更引き返せない場合もありますし、中には重要事項説明の内容が理由で破断になることもあると思われます。
適切な重要事項説明のタイミングについて
筆者は、借主審査等が終った後、なるべく早いタイミングで重要事項説明の雛形を提示することが大事だと思います。
なぜなら、重要事項説明は、「その物件の取扱説明書」のようなもので、「このような物件を契約しようとしているのでしっかり確認してください」が役割だからです。重要事項説明の内容が借りる動機を完遂できるものなのか確認する必要がある以上、キャンセルも当然あって然るべきなので、契約書調印の直前に行うことが不適切だと考えます。
最後に
重要事項説明だけでは理解できない事柄も事業用不動産には多くありますが、借主が借りる動機を達成できるための説明や、調査は多岐に渡ります。
借主が必要であろう事を事前に知らせ、不安材料がない状態で契約いただくことが仲介会社の役目と感じています。
仲介会社は仲介が終われば無関係といった対応をとる会社も多くあります。入居後のトラブルを減らすために、借主にしっかりと理解、納得いただく段取りをし契約しているかも、仲介会社選びのひとつのポイントになるかもしれません。
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需要と供給からみる店舗物件の賃料の考え方
店舗物件の賃料は、物件の価値を反映する重要な指標であり、その決定には多くの要素が関与します。今回は、店舗物件の賃料を決定する主要を、少し違った視点で考えていきます。

賃料相場をベースにした考え方
賃料相場という概念は存在しますが、店舗物件の賃料においてあくまでも参考程度に留めたほうが良いと考えます。
なぜなら、同じ街、エリアであるからこうだ、と一概に言い切れないからです。
例を挙げると、たとえば住宅であれば基本的に下記の要素でおおよその賃料相場が見えます。
「住む」という目的においては、同じような条件で同じような建物であれば、厳密な場所は問われにくいのが特徴です。
- 場所(駅からの距離)
- 広さ
- 設備や部屋の環境(建物の新しさを含む)
これが店舗物件になると下記のようになります。店舗の場合は「そこの出店をしてどの程度の売上・集客が見込めるか」が最重要になります。
そのため、例えば住宅では横断歩道ひとつ分は大した差ではないですが、店舗物件においては最重要な要素となるのです。
- 駅からの距離や前面通行量
- 視認性の良さ、看板の掲出場所
- 広さ
需要と供給における一般的な考え方
下記のようなABCDの店舗物件があり、建物のグレード等は同じで立地だけが異なるものだと仮定します。
そうした場合に、出店者側からみてどの物件が一番魅力的に感じるでしょうか。
- 物件A 駅出口から近く角地で視認性が良い、横断歩道の正面にあるため通行量が期待できる
- 物件B 駅からは近いが細い路地に入った物件であるため視認性が良くない
- 物件C 駅前通り沿いの角地であるが駅出入口から離れている
- 物件D 商店街沿いにあるものの、物件Aと比較すると通行量、視認性に劣る
もちろんテナントごとに魅力に感じる部分が異なるため、あえて静かな立地がいい等の事情はあるものの、
一般的には「好立地=視認性がよく前面通行量が多い場所」となるので、Aの物件が「人気がある傾向」とされます。
人気があるということは、「需要は高いが競合も多く供給が少ない」ため、賃料が高くなる傾向にあります。
よって、同じ街、駅から同程度の距離、同じグレードの建物だとしても全く需要が変わってくるため、
賃料相場はあくまでも街の評価に過ぎず、物件個々で評価することが大切といえます。
募集の際に「その賃料が適正だったか」をはかる方法として、「過度に申込が多かったか」も指標になります。
申込が想定以上に多い場合、一見それは嬉しいことのように感じるのですが、
物件に相当魅力があるか設定賃料が安すぎる可能性がある、もう少し高い賃料設定でも良かった可能性があるのです。
最後に
店舗物件の事例から賃料算出をすることは、住宅ほどサンプルが多くない店舗物件においては主要な方法ではあるものの、
「この物件がこうだから近くのこの物件もこれくらいだ」という査定は、物件そのものの価値を見誤ってしまうことに繋がります。
当社では豊富な経験から賃料設定についてもご相談いただけます。
お気軽にご相談ください。
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省エネ改修の魅力
本記事では省エネ改修の魅力についてお伝えします。

ビルの省エネ改修等による環境性能の向上は、多くの付加価値をもたらすと言われています。
具体的にどのような付加価値があるか以下にその一例を示します。
ビルの競争力向上、クレームの低減
省エネ性能を含む性能の高い設備は光熱費の削減によるコスト減等でテナント満足度を向上させ、競争力を高めます。テナントの長期入居にもつながることが期待できるほか、室内環境への不満が減り、満足度も高まります。オーナーの中には、空調設備更新で入居テナントへの訴求力が向上したと報告する例もあります。
光熱費の削減
省エネ改修は光熱費削減に寄与し、テナントだけでなく、ビルオーナーにとっても重要なコスト削減要素となります。
削減できる金額は導入するシステムにより上下するため費用対効果の検証は必要ですが、明確に数字に表れてくるためわかりやすく実感できることがメリットです。
テナントの生産性向上、健康リスクの低減
室内を適切な温度・湿度環境にすることにより生産性が向上し、病気(感染症)などの健康リスクが低減します。特に人件費の高い業界では、この効果は光熱費削減よりも大きいです。
認証・ラベリング評価の向上による賃料増加
認証・ラベリング(第三者機関からの性能評価)の高評価はビルの訴求力を高め、高い賃料設定が可能になります。多くの論文で高評価を受けたビルの賃料が高くなると実証されています。
ビル・設備の管理能力向上
省エネ改修を通じて設備管理のノウハウが蓄積され、ビルの総合管理能力が向上します。具体例を挙げると「設置されている設備のスペック把握」「設備修理・交換の際の業者へのフローとそれにかかる時間やコスト感を把握」することで中小ビルオーナーにとっては、管理効率化やサービス品質向上に寄与します。

環境対策評価による資金獲得
GRESB評価(GRESBは、個々の不動産に対してではなく、不動産会社、運用機関に対するベンチマーク(指標)で、投資家が投資対象を選定する際に用いられる指標です。)を受けることで、投資機関からの資金獲得が期待できます。環境対策に積極的な不動産会社(ビル)ほど中長期的リターンが期待されます。
企業全体のサステイナビリティ向上
環境負荷の低減や規制対応能力の向上により、企業のサステイナビリティが高まります。CSRレポートでのアピールにより、企業イメージの向上にも寄与します。特にCSRを重視する大手企業にとっては大きなメリットです。
省エネ改修という言葉には様々な要素が含まれており、具体的には何を行えばよいのかわからないことも多いでしょう。
ビルは千差万別ですので、所有している物件に付加したい魅力、もしくは補いたい弱点といった観点から、取り組むべき省エネ改修を判断するのもよいでしょう。
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事務所・店舗の原状回復について
原状回復の種類は大まかに「スケルトン」「事務所仕様」「残置」の3種類に分かれます。

スケルトン
スケルトンとは、テナント様が入居後に設置した設備・内装等すべてを撤去し、基本的には建物躯体と法定設備のみにすることを指します。
原状回復がスケルトン仕様の場合、造作物をすべて撤去しますので一見疑義も発生せずトラブルが起きにくそうですが、そうではありません。
例を挙げると
① 建物全体に係る設備を貸主・借主どちらの手配業者が施工するかの扱い
② 室内の火災報知器・消火器等の消防設備が貸主・借主どちらの区分か
③ 躯体の傷や穴などをどこまで直すか
この取り決めの打合せをしっかりと行う必要があります。
事務所仕様
事務所仕上げは、一般的には床・クロス・天井が造作されている仕様となります。入居後即開業できるような仕様なので、空調・照明器具・トイレが設置されていることが多いです。またミニキッチンや洗面台OAフロアなどがついている物件もございます。
原状回復が事務所仕様の場合のトラブルについては
① クリーニングやクロス等仕上げ材が粗悪なものであり原状回復とは言えない状態となる
② クロス等の仕上げ材を必ず張り替える取り決めが無い場合にテナントが張り替えてくれない、もしくは当初と同等のものが用意できない
といった事例があります。
これらは引渡し時の写真を撮影し、双方で共有する必要があります。
居抜き
居抜きとは、設備や什器備品、家具など前入居者の造作物や、物品の所有権を新借主が引き継ぎ賃貸借されることを指します。 主に飲食店などの店舗系物件に多く見受けられます。こちらは、契約時に原状回復について「スケルトン」なのか「引渡し時と同等」なのかなど契約時にしっかりと謳われていないと後々のトラブルになりかねません。
弊社では、解約業務の一環として原状回復のお立会いをさせて頂いておりますので、お気軽にご相談ください。
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「設備警報盤から警報が鳴っています」と連絡があった場合の対応方法
入居テナント関係者から、「警報が鳴っています」と連絡を受けたオーナー様もいらっしゃるのではないでしょうか。
その中でも給水設備(受水槽及び高置水槽・貯水槽)に関する対応方法をご紹介いたします。緊急時に対応ができるように、下記フローチャートを例に解説いたします。
あくまでも一般的な例を踏まえてのご紹介になります。ご参考までにご利用ください。
皆様が所有されているビルは下記のような設備盤が設置されており、給水設備に異常があった場合に赤枠内盤の異常がある箇所のランプが点灯し、ブザーにて異常を知らせます。


※設備盤は建物毎に様式が異なるため、一例としてご覧ください。
設備盤が無く、電源の入り切りのみのタイプもございます。
満水・減水警報は受水槽及び高置水槽(貯水槽)内の水量に対し、作用いたします。


槽内外設備不具合
満水警報発報及び減水警報 事故例
・定位水位弁の副弁(ボールタップ)給水停止不良
給水管からの水の流入を制御するボールタップが動作不良となり、受水槽内の水量が基準を超えた場合に、警報音が鳴ります。
★ボールタップを点検できる給排水業者にご連絡ください。
※点検までに時間を要する場合は、受水槽内の水量を確認し、必要に応じて手動で受水槽へ水の供給が必要になる場合がございます。
・定水位弁(主弁)の停止不良
定水位弁は一般的に水槽内の水量を適量に保つ役割を持つバルブのことで動作不良で、受水槽内の基準水量を超えた場合に警報音が鳴ります。
★定位水位弁(主弁)を点検できる給排水業者にご連絡ください。
・電源障害
満水警報は電気で動作している為、電源ケーブルの断線・ブレーカーのトリップ・電源供給の停止が発生すると正常作動しなくなります。
★電気工事のできる業者にご連絡ください。
警報盤からのアラート(警報音)の中には特に異常が見られなかった誤作動ということもあるので警報音が鳴っている場合は、速やかにポンプ操作盤および各借主に水の使用状態を確認することが大事です。
以上、大きく分けて3つの事例をあげて解説してきましたが、給水または電気事業者などへ依頼をしなければなりません。緊急時に対応ができるように、設置場所や操作盤の種類を確認頂くことをおすすめ致します。
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防火管理者について

防火管理者とは
防火管理者は消防法に定める国家資格です。
資格を有する者のうち防火対象物において防火上必要な業務を適切に遂行でき、従業員を管理・監督・統括できる地位にある者です。また、防火対象物の管理権原者から選任されて、その防火対象物の防火上の管理、予防等を行う者を指します。
統括防火管理者とは
統括防火管理者とは、雑居ビルなどテナントが存在する建物で、建物全体の一体的な防火管理を行うために、建物全ての管理権限者が協議して決定した防火管理者のことを指します。
防火管理者が必要な建物
- 収容人員30人以上の特定防火対象物
- 収容人員50人以上の非特定防火対象物
- 特定防火対象物で延床面積300㎡以上の建物
- 非特定防火対象物500㎡以上の建物
統括防火管理者が必要な建物
- 高層建築物(高さ31mを超える建築物)
- 避難困難施設が入っている防火対象物のうち、地階を除く階数が3階以上で、かつ、収容人員が10人以上の建物
- 防火対象物のうち、地階を除く階数が3以上で、かつ、収容人員が30人以上の建物
- 地下街のうち消防長又は消防署長が指定する建物
- 準地下街
防火管理者の主な業務内容
- 防火管理に係る消防計画の作成・届出
- 消火、通報及び避難訓練を実施
- 消防用設備等の点検・整備
- 火気の使用又は取扱いに関する監督
- 避難又は防火上必要な構造及び設備の維持管理
- 収容人員の管理
防火管理者の選任を怠ると
消防法に違反しますので、以下の罰則内容が違反した管理権原者に適用される可能性がございます。
6ヵ月以下の懲役、または、50万円以下の罰金
統括防火管理者の主な業務
- 全体についての防火管理に係る消防計画の作成・届出
- 消火、通報及び避難訓練を実施
- 廊下、階段、避難口その他避難上必要な施設の管理を行うこと。
- 避難又は防火上必要な構造及び設備の維持管理を行うこと。
統括防火管理者の選任を怠ると
消防法に関する罰則規定はございません。
しかし、統括防火管理者の選任を怠ったことにより選任候補の防火管理者が罰則を受けることがございます。(罰則内容は<防火管理者の選任を怠ると>に記載されている内容が目安となります。)
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ビル管理の小道具
今回はビル管理にあると便利な小道具についてご紹介いたします。

1.ミニドライバーセット
ねじ穴が異なるものも多いので、複数種類があるものが望ましいです。
2.カッター
配線等を切断するのに便利です。
3.巻尺、レーザー距離計
高さを測るのにレーザー距離計は重宝されます。
4.スクレイパー(シール、カッティングシートの除去等)
へらのようなものです。シールの剝離のほか様々な用途に使えます。
5.六角レンチ
ドライバー同様、複数の大きさがあると便利です。
6.ペンチ
固いキャップ等を開栓するのに役立ちます。
7.カラビナ(複数の鍵を持って棟内を巡回するときなど)
鍵庫を一式持ち歩くのは非常に大変ですし紛失の恐れもあります。
8.鍵(タキゲン・コンセント)
タキゲン200など、一本あれば様々な場所の開閉に役立ちます。

これらの道具は、現場での作業を効率化し、スムーズに進めるために役立ちます。具体的な道具の選択は、現場の状況や個々の作業内容によりますので、適宜選択してください。また、最新のテクノロジーを活用することで、更なる効率化や作業の質の向上が期待できます。今後は小型ドローンやAIロボットを活用することで、現場の監督や管理がより効率的になる可能性があります。
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敷金診断士の業務について
今回は敷金診断士とその業務について、ビルオーナーの目線にたって解説いたします。

敷金診断士とは?
特定非営利活動法人日本住宅性能検査協会により認定している民間資格です。
民間資格であるため、宅地建物取引士であれば宅地建物取引業法等において許される業務等がありますが、敷金診断士は国家資格ではないため、資格を保持しているからとはいえ特別許される業務はありません。
主に不動産賃貸における敷金・保証金を巡るトラブルの解決を図る専門家としての活躍を期待される資格であり、年間、10,000件近くの敷金相談や、立会い調査を実施し、県民相談総合センター等の公的機関からも敷金問題解決のための連携の申し入れを受けている実績のある資格です。
さらに、敷金診断士は日本不動産仲裁機構ADR調停人の基礎資格認定を受けており、敷金トラブルに関するADR業務を実施することができます。(ADR調停人となるには資格に加え研修が必要です)
敷金診断士による業務範囲
敷金診断士による業務は、主には下記のような業務があります。
- 退去立会の際の同席
- 賃貸物件の適正な原状回復費の査定
- 原状回復や退去、敷金返却に関しての借主への助言
敷金診断士による非弁行為
非弁行為とは、弁護士法第72条違反となる行為であり、該当条文は下記のような記載があります。
第七十二条 弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。
つまり、報酬を得る目的が前提とするならば、借主の依頼で敷金診断士が退去立会に同席していたとしても、敷金診断士は相手方(貸主や管理会社)に対して指摘や交渉をすることができず、あくまで借主本人が敷金診断士のアドバイスをもって自ら交渉する必要があります。
また同様に、原状回復費用の交渉や、敷金が返還されない等の交渉代理においても、敷金診断士が借主に代わって業務を行うことは許されないのですが、昨今弁護士資格をもたない敷金診断士による、非弁行為が散見されている傾向があります。
実際に、特定非営利活動法人日本住宅性能検査協会が発行している「敷金診断士」実務ガイドラインには、弁護士法第72条を遵守するための行動規範が記されています。
敷金診断士によるADR業務
弁護士法第72条について触れましたが、先ほど記載した通り敷金診断士は日本不動産仲裁機構ADR調停人としての業務を行うことができます。そもそもADR調停人とはどのような業務ができるのでしょうか。
ADRとは「裁判外紛争解決制度」のことで、裁判手続きによらずに紛争を解決する手法をいいます。通常、「裁判」は、ある当事者間の紛争について裁判所が最終的な判断を示すことによって、その争点に最終的な解決を与えます。これに対して「ADR」は当事者間の自由な意思と努力に基づいて紛争の解決を目指すものです。
簡単にいうと、当事者同士の話し合いで紛争を解決しようとするもので、ADR調停人はそれのサポートをすることができます。
ただし、ADRの場合はあくまで当事者間での裁判手続きによらない紛争解決であるため、下記の懸念があります。
- 相手の同意が必要(裁判では相手の同意は不要)
- 結果への強制力がない(裁判での判決には強制力がある)
- ADR調停人がどちらかの弁護ができるわけではない
つまりは、敷金診断士がADR調停人になることが可能であっても、話し合いの場を用意することとアドバイスができるに過ぎず、相手方に対して依頼者である借主に代わって交渉等をすることができません。
ビルオーナー目線にたった時に
実務において、借主が敷金診断士等の専門家を連れてきた場合ひるんでしまうこともあるかもしれませんが、
上記の通り、あくまでアドバイスができる立場でしかないため借主自身も多少知識も必要となってきます。
当社では管理会社として、適切な原状回復工事を実施しビルオーナー様の資産を守るようにお手伝いをしておりますので、
お気軽にご相談ください。
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建物断水について
断水することで住居では生活に、事業用では営業活動に多大な影響を及ぼします。
また、適切な点検等がなされておらず、断水によりテナントの営業活動に支障を与えた場合営業補償等を求められる等の所有者側のリスクもございます。
断水が発生した際には、その理由が想定できるかできないかで対応のスピードも大きく違ってきますのでご参考ください。
(1)各給水方式で断水が発生する理由
- 直圧直結方式
→水道本管から直接給水となる為、本管側の断水が発生しない限り水が止まることはありません。本管側の断水に関しては、行政による本管交換工事等が考えられます。 - 増圧直結方式
→増圧ポンプの動作不良により上層階で断水が発生します。水道本管の水にポンプで圧力を加えて給水されますが、ポンプが停止した場合も低層階へは水が供給されます。(直結直圧方式同様に水道本管の圧力で届く範囲)
直結直圧方式で届く階層としてはエリアの本管圧力により変動しますが、概ね4~5階程度の為、それ以上の階層では水圧不足や断水が発生する恐れがあります。
本方式での断水理由としてはポンプの異常や、ポンプを使用する為には電気を使う為電気設備の不具合が考えられます。 - 高架水槽方式
→屋上に設置されている高架水槽の水がなくなった場合断水が発生します。本方式では地下などに受水槽を設置し、そこから高架水槽へとポンプアップする方式が一般的となります。高架水槽の水位が低下すると自動で地下の受水槽から給水されますが、この時に
(1)高架水槽の水位低下を感知する設備(ボールタップ、電極棒等)の不具合により受水槽から高架水槽へ給水されない。
(2)水位低下を感知しているにも関わらず揚水ポンプの異常により受水槽から高架水槽へ給水されない。
(3)ポンプを動かすための電気設備の不具合、等が断水の理由として考えられます。 - ポンプ圧送方式
→本方式でもポンプ異常やポンプを動かす為の電気設備異常により断水が発生します。受水槽を使用していますが、本管より給水されていることから、常に貯留されている状態であることから、受水槽が空になるのは「1.」で記載をした、本管側の断水があった場合と考えられます。 - 全方式共通の断水理由:水道管の破損
→それぞれ方式によりポンプの使用等設備が異なりますが水は必ず水道管を経由して給水されます。この水道管が自然災害等により破損すると断水が発生します。
本管の破損であればその給水エリア一帯が、建物一棟だけであれば、その建物専有の給水管の破損が考えられます。
(2)断水発生時の対応
断水が起こった際にはまず各給水設備の蛇口等を閉めておくようにしましょう。蛇口を閉めておくことで給水管内への空気の流入を防ぐことができます。
また、給水復旧時に蛇口が開けっ放しだと水が放水された状態となってしまいます。
設備監視が導入されている場合断水発生時に制御盤で異常が起きている該当設備を確認することができます。その際には警報音が鳴動し、警備会社等が現地を確認に向かいます。設備監視が導入されていない場合には、断水発生時に建物の管理者へ連絡をする必要がありますので、建物管理会社があれば管理会社へ連絡をしていただく必要があります。


(3)断水復旧時のエア抜き
断水が発生した時点で給水管内は水で満たされていない状態となります。そのため断水が解消されても給水管内に空気が入っています。その際に気を付けなければいけないのがエア抜きをすることです。エア抜きをしないと給水管内にたまった空気が急激に器具へ供給され、その衝撃で器具の破損につながる場合があります。
エア抜きの方法としては蛇口から少しずつ水を出し、5分間程度は出しっぱなしの状態とします。水と一緒に空気が抜けていく音が発生しますので確認ができます。
(4)最後に
断水は異常が起きている設備の種類や状態によっては復旧まで時間がかかります。大事なことは設備の経年劣化を設備点検等で把握し、計画的な修繕を実施することとなります。
当社では給水設備の法定点検実施や設備改修のアドバイスも可能です。
お困りごとがございましたらお気軽にご連絡ください。
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不動産転貸借における権利関係について
不動産の転貸借(サブリース契約やマスターリース契約)における権利関係は登場人物が多いため複雑になるケースが多いです。
今回は、代表的なものと特徴をまとめましたのでご参考ください。

本記事では登場人物を下記の通り表記します。
- A 賃貸人(建物オーナーなど)
- B 転貸人(サブリース会社など、A賃貸人から建物を借り、誰かに貸している者。C転借人からみれば賃貸人。)
- C 転借人(B転貸人から建物を借りている者)

転貸借の定義
転貸借とは、賃借人(ここでいうB転貸人)がA賃貸人との賃貸借契約関係を維持した上で、賃借人の有する賃借権の範囲内でC転借人との間で更に賃貸借契約を締結することを指します。
一般的に建物一棟をすべて借り上げることをマスターリース、転貸借そのものをサブリースと呼びます。
すなわち、A賃貸人とB転貸人で交わされるのがマスターリース、B賃貸人とC転借人で交わされるのがサブリース契約です。
A賃貸人とB転貸人の関係
転貸借が成立した場合、その物件の賃貸借契約が2契約(もしくはそれ以上)存在することになります。(A賃貸人とB転貸人、B転貸人とC転借人の契約)
しかしそれぞれはあくまで個別であって、一般的には転貸借が成立したからといって元の賃貸借契約(A賃貸人とB転貸人の契約)内容に影響があるものではありません。
転貸借契約は、B転貸人とC転借人との間で締結される契約ですから、A賃貸人とC転借人との間には何の契約関係もありません。
しかし、民法等に定める法律上の責任(契約上の責任ではなく、法律が定める「法定責任」)は発生します。
転貸借において一番弱者となるのがC転借人です。
なぜなら、C転借人はA賃貸人との契約関係がないのですから、仮にB転貸人がこの契約スキームから外れることが起きれば借りる権利が危ぶまれるからです。B転貸人がいなくなる場合のC転借人の権利を見ていきましょう。

C転借人の造作買取請求権の有無
借地借家法33条1項は、「建物の賃貸人の同意を得て建物に付加した畳、建具その他の造作がある場合には、建物の賃借人は、建物の賃貸借が期間の満了又は解約の申入れによって終了するときに、建物の賃貸人に対し、その造作を時価で買い取るべきことを請求することができる。」と定めています。
一般の貸主、借主の関係と同じように、A賃貸人の同意を得て行った造作物に関しては、C転借人はA賃貸人に対して、同じく造作買取請求権を行使できます。
※あくまで一般的なケースであり、建物賃貸借内容により異なる場合もあります。
また、A賃貸人とB転貸人との間の契約が終了する場合に、A賃貸人はC転借人に対抗できるのか。一例をご紹介いたします。
債務不履行解除の場合(対抗できる)
原賃貸借契約が賃借人の債務不履行により解除された場合、A賃貸人はC転借人に原賃貸借契約の終了を対抗できます。この場合、C転借人は物件から退去するよう請求されることがあります。
期間満了または解約申入れの場合(自然には対抗できない)
原賃貸借契約(A賃貸人とB転貸人との契約)が期間満了または解約申入れにより終了する場合、A賃貸人はC転借人にその旨の通知をしなければ原賃貸借契約の終了をC転借人に対抗できません。
この通知をしたときから6カ月経過後、明渡しを請求できます。
これは自らの意思でできる申入のため、C転借人に時間的な余裕をもたせ保護できるようにするためにこのような規定となっています。
合意解除の場合(対抗できない)
原賃貸借契約がA賃貸人とB転貸人との間の合意により解除された場合、A賃貸人は原賃貸借契約の終了をC転借人に対抗できません。
なぜならこれを許してしまうと、C転借人からみれば合意解約の場合はケースにより時間的猶予も持たされず、また抵抗もできずに半ば強制的に終了させられ、見方を変えればC転借人に著しく不利益となることをA賃貸人とB転貸人の共謀により可能となってしまうため、対抗できないとなっております。
ただし、解除当時、C転借人の債務不履行による解除が可能であった場合は、C転借人に対抗することができます。
代表的なものを挙げましたが、当事者間の契約内容や事例により異なるケースもありますため、トラブルが発生した場合には専門家などにご相談されることをお勧めします。また、掲載当時の法令・情報に基づいているため、最新法令・情報のご確認をお願いいたします。
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「設備警報盤から警報が鳴っています」と連絡があった場合の対応方法 ~汚水設備編~
入居テナント関係者から、「警報が鳴っています」と連絡を受けたオーナー様もいらっしゃるのではないでしょうか。その中でも給排水設備の汚水設備に関する対応方法をご紹介いたします。緊急時に対応ができるように、下記フローチャートを例に解説いたします。
あくまでも一般的な例を踏まえてのご紹介になります。ご参考までにご利用ください。
皆様が所有されているビルは下記のような設備盤が設置されており、汚水設備に異常があった場合に赤枠内盤の異常がある箇所のランプが点灯し、ブザーにて異常を知らせます。

※設備盤は建物毎に様式が異なるため、一例としてご覧ください。設備盤が無く、電源の入り切りのみのタイプもございます。

槽内設備不具合

■水位計(フロート)の誤作動
スカム(汚泥)が水位計に絡まり、始動水位が反応せず、排水ポンプが作動しないため、地上への排水不可
貸主または管理関係者が下記の順番で対応して下さい。
- まず始めに汚雑排水槽につながっている配管の水の使用を中止頂くよう借主へお伝え
- 次にポンプ操作盤にて自動から手動に切り替えて、排水ポンプの作動をする。(3分間程)
- 手動で作業後、自動運転に必ず戻す。
*1-3手順後、作業結果を設備業者へ連絡。
問題なければ、借主へ水の使用再開の連絡を行い、完了。 - 是正されない場合、汚雑排水槽内の汚物(スカム)及び汚水の排出を行った上で調査及び工事完了後、借主へ水の使用再開の連絡を行う。
※手順3で復旧した場合は、水位計(フロート)の交換及び水位計設置位置の是正等を検討する必要があります。
■排水ポンプ誤作動によるアラート(警報音)
排水ポンプの故障および絶縁値低下によるポンプ機能不全
下記の順番で借主へ対応をお願いして下さい
- まず始めに汚雑排水槽につながっている配管の水の使用を中止頂くよう借主へお伝え
- 次にポンプ操作盤にて自動から手動に切り替えて、排水ポンプの作動をする。(3分間程)
- 手動で作業後、自動運転に必ず戻す。
*1-3手順後、作業結果を設備業者へ連絡。問題なければ、借主へ水の使用再開の連絡を行い、完了。 - 是正されない場合、汚雑排水槽内の汚物(スカム)及び汚水の排出を行った上で調査を依頼の上、工事完了後、借主へ水の使用再開の連絡を行う。
排水管不良(横菅)
■排水ポンプは正常作動しているが、槽内の汚水及びスカム(汚物)が排出されない場合
排水ポンプから地上への排水桝までに詰まり等の異常
下記の順番で借主へ対応をお願いして下さい
- まず始めに汚雑排水槽につながっている配管の水の使用を中止頂くよう借主へお伝え
- 次にポンプ操作盤にて自動から手動に切り替えて、排水ポンプの作動をする。(3分間程)
- 手動で作業後、自動運転に必ず戻す。
*1-3手順後、作業結果を設備業者へ連絡。
問題なければ、借主へ水の使用再開の連絡を行い、完了。 - 是正されない場合、給排水事業者に配管高圧洗浄を依頼の上、工事完了後、借主へ水の使用再開の連絡を行う。
排水管不良(縦菅)
■ビル内の全借主から「トイレなど使用できない」と連絡があった場合
地上の排水桝に詰まり等の異常
下記の順番で借主へ対応をお願いして下さい
- まず始めにビル内全利用者に水の使用を中止頂くよう借主へお伝え
- 給排水事業者に調査を依頼の上、是正工事を手配する。
- 工事完了後、ビル内全借主に水の使用再開の連絡を行う。
警報盤からのアラート(警報音)の中には特に異常が見られなかった誤作動ということもあるので警報音が鳴っている場合は、速やかにポンプ操作盤および各借主に給排水状態を確認することが大事です。
以上、大きく分けて3つの事例をあげて解説してきましたが、事故が起きてからポンプ操作盤の操作で解決できれば良いのですが、そうではない場合、給排水事業者などへ依頼をしなければなりません。緊急時に対応ができるように、設置場所や操作盤の種類を確認頂くことをおすすめ致します。
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テナントが負担するBM(ビルマネジメント)項目について

テナントが出店をする際に、賃料、共益費、光熱費以外にもテナント独自で契約をするビルマネジメントや法定点検があります。
今回はそのうち代表的なものをいくつかご紹介します。
防火対象物点検(※法定点検)
出店する建物が一定の商業施設や大型のビルで、防火管理体制における管理権限者がテナント(区画)ごととなっている場合、テナントごとに年に1回防火対象物点検を実施し、消防署に報告をしなければなりません。
防火対象物点検はビル全体で必要になってくるため、全店舗がビル指定の業者に発注するケースもありますが、報告義務は管理権限ごとに発生するため、これを怠ると指導等が入る場合がございます。
フロン排出抑制法における点検(※法定点検)
業務用エアコン等のすべての機器に3ヶ月ごとの簡易点検を、一定規模以上の機器には1年または3年ごとの有資格者による定期点検を義務付けています。
エアコンの資産区分がオーナー側にある場合はオーナー側での実施となることが多いですが、テナント自身の資産区分になる場合はテナントにて実施をする必要性が出てきます。
清掃業務
店舗スタッフで実施をしない場合には発注するケースがあります。
簡易な清掃やトイレ清掃であれば店舗スタッフで実施できる場合もございますが、ワックスがけや、グリストラップ清掃等、専用の機械や技術、著しく汚い部分の清掃等は委託するケースも多いです。
機械警備
基本的にオーナー側で発注する機械警備は共用部のみの場合が多く、商業施設等であっても専有部内の機械警備はテナントにて発注、実費負担となる場合が多いです。
店舗ごとに導入の判断し、適正なセキュリティを保つ必要がございます。
害虫駆除、防除
建物として害虫やねずみの駆除、防除を定期的に実施している場合がございますが、各区画内についてはテナント自身が実施をする必要性が出てきます。
オーナー側の実施はあくまで共用部に限った場合が多いため、店舗内でこれを実施しないと害虫の発生に繋がる場合があります。
オーナー側が関与しない部分も多々ありますが、どのような業務が必要かを把握することはテナント管理や誘致において必要な情報です。
テナントによっては法的に必要な点検・報告を認知していない場合も多く、これにより行政よりテナントに対し指導があれば、オーナー側の責務ではないもののまったく無関係とはいかない場合もございます。
不要なトラブルを回避する意味でも把握をすることに努めたほうが良いと考えます。
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EV充電器について
現在、世界中で脱炭素を達成するため、EV:電気自動車(以下、EVという)が急速に普及しており、様々なメディアでEVに関するニュースが発信されております。
EVに関して、一見、商業不動産の業界関係者(ビルオーナー、ビル管理会社 等)には関係が薄い印象がありますが、決してそのようなことはございません。
なぜなら、EVが普及するために不可欠な「EV充電器」が商業不動産と関係してくるからです。
今後、EV普及のためにはEV充電器を様々な場所に設置しなければならず、商業ビルの駐車場も主要設置場所の一つに該当するからです。
以上につき、今回の記事ではEV充電器の一般的な知識や現状について記載いたします。
EV充電器について
EVを充電するための機械であり、EVが走行するためには欠かせない機器となります。
EVを普及させ、人々のインフラにできるか否かはEV充電機を如何に多くの場所に設置できるかが重要となります。

基礎充電と目的地充電
設置箇所については、主に基礎充電(自宅、職場など)と目的地充電(宿泊、商業不動産など)があり、現在、約9割が基礎充電となっております。
日本のEV化は約3~4%ですが、今後、EV化率を上げていくためには、基礎充電と併せて目的地充電も同様に普及させていくことが重要です。
EVはものによりますが、走行距離が平均で250~450㎞です。そのため、東京から車で地方に遠出をする場合、おそらく1度は充電が必要になります。その際に、目的地充電がインフラとして当たり前になれば、安心して遠出、宿泊などができるようになります。
今後、商業用不動産業では、目的地充電の設置・修繕などの提案が当たり前のように求められてくることが考えられます。

台数 | 割合 | |
---|---|---|
ガソリン車 | 938,750台 | 42.223% |
HEV | 1,089,077台 | 48.985% |
PHEV | 37,772台 | 1.699% |
EV | 31,592台 | 1.421% |
ディーゼル車 | 125,200台 | 5.631% |
FCV | 848台 | 0.038% |
その他 | 64台 | 0.003% |
計 | 2,223,303台 |
急速充電器と普通充電器
充電器の種類には急速充電器と普通充電器があります。
急速充電器はEVの充電を普通充電よりも素早く行うことができます。しかし、出力が高いため電池の寿命を縮めてしまうデメリットがあります。
普通充電器は急速充電より充電スピードが遅い代わりに出力が低いため電池の劣化を早めることなく充電をすることができます。
現時点では、普通充電器6kwを使用することで、電池に負担を与えず、数時間で充電を完了させることが充電器使用の最適解と考えられます。
充電器の種類 | 普通充電器(コンセント型) | 普通充電器(ケーブル一体型) | 急速充電器 |
---|---|---|---|
出力 | 1kw~3kw | 3.2kw~6.0kw | 20kw~25kw |
設置場所 | ・戸建住宅 ・事業所の駐車場(生活の拠点になる場所) | ・商業施設 ・宿泊施設 ・マンション ・屋外駐車場 ・カーディーラー ・病院 ・レジャー施設 ・コンビニ、スーパー | ・高速道路のSA/PA |
特徴 | ・低出力の低速充電 ・充電時間は10時間以上 ・ケーブルは付属していないためケーブルの持ち運びが必要 | ・充電時間は数時間程度 ・普通充電器の出力は「3kw」と「6kw」に分かれる | ・高出力 ・充電時間は1回10分~40分程度 |
※一般的なデータを基に作成
政府も充電器設置を推進している
日本政府は2035年までに乗用車新車販売における電動車の比率を100%とする目標を掲げ、その達成に向けて、 2030年までに30万口を目指してEV充電器の設置を増加させることを目標にしております。
基礎充電の設置目標は10万〜20万口とされており、集合住宅に住むEVユーザーの1割以上が住宅内で充電ができるよう、充電インフラの強化を図る方針です。
また、目的地充電については約15万台の設置が目標となっております。
補助金についても政府は方針立てをしており、2023年11月10日に令和5年度補正予算案が閣議決定されております。EVの普及促進に向けた充電・充てんインフラ等導入促進補助金には300億円が盛り込まれ、前年の補正予算比1.5倍の規模となりました。
経済産業省が公表した「充電インフラ整備促進に向けた指針」では、 設置目標が15万口から30万口に倍増し、急速充電の設置目標が3万口と据え置きである一方で、普通充電は12万口から27万口に倍以上増加したことを鑑み、大幅な増額となりました。
※今後、令和5年度補正予算案も本予算時に上方修正される可能性があります。
最後に
今後、どの程度のペースでEV化が進んでいくかは未知数ですが、世界中で脱炭素を掲げている以上、ほぼ間違いなくガソリン車はEVに置き換わります。
そのため、EV充電器は人々の生活から切り離せないインフラとなっていく可能性が高く、今後、どの業界にとっても重要な設備となってくることが考えられます。
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一般照明用蛍光灯の製造・輸出入の終了について

2023年11月に「水銀に関する水俣条約」の締約国会議が実施され、直管蛍光灯の製造及び輸出入を2027年末までに禁止することで合意とする記事がございました。また、2022年5月の締約国会議では電球形蛍光灯が2025年末で製造及び輸出入が禁止が決まっておりましたので、今回の合意により、すべての一般照明用蛍光灯の製造・輸出入が禁止されることになりました。
製造状況や在庫状況次第で、いつごろ完全終売となるかは現時点では不明ですが、これからはLED照明が主流となります。LED照明への切り替えに伴い、現状設置されている機器によっては、電気工事が必要になります。
まず、照明機器の種類によって工事の必要の有無について
- 工事不要:天井への引っ掛けシーリング式のものや白熱電球の照明機器については不要となります。これらについては元々配線器具が設置されておりますので、市販のLEDライトをそのまま付け替えるだけ切り替えが完了となります。
- 工事要:「安定器」(※下図参照)と呼ばれる器具が、現行の蛍光灯に取り付けられている場合はバイパス工事と呼ばれる電気工事が必要です。
バイパス工事について
バイパス工事とはLEDに適した電気配線に切り替えるためのものです。蛍光灯用の照明に取り付けられている「安定器」に電気が流れないようにする若しくは取り外す工事となります。
工事施工について
バイパス工事には電気工事士の国家資格が必要となります。無資格者ではできませんので、ご注意ください。
直前になると施工業者の案件が増え、対応できなくなる可能性もあるので、工事が必要か不必要かどうかも含めて早めのご相談をおすすめします。
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