排水管の維持管理

ビルの排水管の維持管理において抑えておきたいポイントをご紹介します。

【汚水と雑排水】

排水管には汚水と雑排水が流れます。大まかに言えば、トイレからの排水などし尿を含む排水が汚水、し尿を含まない台所、風呂、洗濯などからの排水が雑排水となります。これらの排水はそれぞれ流れる水質や混合物が異なりますので、当然使用される配管の質や口径、長さ、設置の傾きなどにも違いがありますので、適切に配管すべきです。事務所などの場合で先にトイレやキッチンを造作して引き渡す場合は問題ないのですが、スケルトン状態で引渡してテナントが配管を行う場合は、汚水管・雑排水管に正しく繋がれているか確認が必要です。往々にしてテナントは引渡しを受けてから速やかに店舗建築を完了させ開店したいと考えるため、契約書に着工前に貸主に設計図を提出して事前承諾を得るように規定していても守られないことが多くあります。このような場合は、設計に関する進捗状況を定期的にヒアリングをしていくしかありません。
実際に飲食店で正しく配管がなされなかったためにトイレの水が流れなくなってしまい、結局配管をやり直すために、休業して店内の一部を壊さなければならないこともありました。これもテナントが貸主に設計図の提出をせずに工事を進めてしまったことが原因でした。この排水に関してはグリーストラップと呼ばれる飲食店などで出る脂を含む排水から脂を除去するための設備も設置されるかの確認と併せてすべきであり、なれていない方にとってはかなり専門性が高く感じられると思います。しかし、排水管は一度店内が完成してしまうと、テナントの予算やスケジュール的にもほぼやり直しは難しいと思われるので、
最初にしっかりと管理監督すべきです。

 

【管の素材】

排水管には様々な素材がありますが、維持管理の点においては、古い建物で鉄管が採用されている場合はその劣化に特に注意すべきでしょう。理由としては、排水管の内部に錆がコブ状に形成され、排水量が減少していきます。されにそのコブに排水の中に混在しているものが引っかかることで管の詰まりが生じます。詰まりは洗浄すれば良いのですが、このように経年劣化で錆コブが発生している場合は、高圧洗浄ですとコブがはがれるのと併せて管に穴が空くことがあるため、トーラーと言われる先端に小さなドリルをつけたワイヤーを管内に挿入する方法にて詰まりを撤去します。しかし、トーラーはワイヤーの長さに限界があるので8メートル程度が目安となります。そのため、飲食店などで排水管が長い場合はトーラーでも詰まりを解消できないこともあります。対策として、テナントに使用させる際は、前記の汚水・雑排水の正しい配管、グリーストラップの設置と正しい管理、飲食店においては食材・美容室においては毛髪など流してはいけないものは排水前に除去するなどの事前対策を徹底させる必要があります。契約前に、テナントが実施してくれそうかを見極めることもトラブル防止には有効かと思います。

 

【本管と枝管】

区分マンション等においてはトラブル防止のために管理区分がガイドラインなどで適宜されており、一般的には縦管は共用部、横管は区分所有者と規定され、それぞれ修繕の負担を追います。一方ワンオーナーのビルであれば、資産区分が不明確なこともありますので契約時に明確に決めておくべきです。引渡し時に区画内に短く配管が立ち上がっている場合は、引渡し後にテナントにて増設した配管はテナントの資産区分となることが多いかと思います。また、管がスラブを貫通して真下の階のテナント区画の天井に配管されている場合、オーナー側の本管とみなされることが多いですが、この管は下の階のテナントが天井をボードで塞いでいる場合はなかなか目視でも管理することができず、上階からの漏水により天井につけている防犯カメラが濡れてしまうというようなこともあるようです。

 

【テナントの入居時期・業種】

区分マンションなどでは25~30年ほどで配水管を交換することが長期修繕計画に組み込まれることが多いようです。一方、テナントビル、特にワンオーナーの物件に関しては、配水管の劣化はしているという予測はできるものの、実際にテナントの使用を停止させてまで交換することは多くはなく、大半はビルの立て替えまで交換しないことが多いのではないかと思います。区分所有建物では所有者が複数いるため、共有物の劣化対策をあらかじめ計画することでビルの運営をスムーズに行うことが多いですが、ワンオーナー物件、特にテナントビルの場合、基本的には様子を見ながら可能な限り交換せずに使用されることが多いのではないでしょうか。その場合注意したいのは、排水管からの漏水等有事の際に、テナントの営業に支障が出てしまい、修繕が難航すれば営業補償などを求められることにもなりかねないということです。有事の際にテナントから苦情を受けながら対処するのは大変なことですから、できれば事前の維持管理によってそのリスクを下げたいものです。

具体的な方法としては、テナントの退去が発生したときには排水管の状態を確認する希少な機会となりますので、以前の業者が飲食店や美容室などで排水管につまりの原因となるものが残っていることが懸念される場合は、次のテナントに引き渡す前に専門業者による調査、状態によっては洗浄をされると良いでしょう。

 

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By | 2017年7月19日